大学時代、1年弱の期間をカナダの大学で過ごしました。移民の多く住む街の中にあり、多岐にわたる国籍・バックグラウンドをもつ学生にあふれた大学でした。学内には、日本の大学にもよくあるスポーツ系のサークルの他に、様々な国にまつわるサークルがたくさんありました。私が参加してみたのはJISA(Japanese International Student Association)というコミュニティ。所属している学生は、日系2世など日本にルーツを持つ人、日本語を語学として学んでいる人、日本の文化(特にアニメ。やはりアニメ人気は高い!)に興味がある人、そして日本からの留学生が主でした。
あるとき各サークルが参加する学内のイベントが催され、JISAでは「Japan」をテーマにした作品をそれぞれが出品し展示することになりました。当時私は書道を習っており、留学先にも書道道具を持参していました。せっかくなので書の作品をカナダの学生たちにも見てほしいと思い、「桜」という漢字を一文字、半紙に崩した書体で書いて提出しました。それがこちらです。(※当時の写真を見つけられなかったので、記憶を頼りに書き直したもの)
嬉しいことにこの作品はJISAの中でも好評でいろいろな感想をもらったのですが、その中にびっくりするものがありました。右上の「ツ」の部分がスマイルマークに見えるというのです。「スマイルマークが入っているから、この作品の中にhappyな気持ちを込めたんだと思った」とその友人は言いました。つまり、彼には崩したこの字が以下のように見えていたということです。
漢字を使い慣れた人にはなかなか思いつかない発想ですよね。
イデアに入ってアルファベットやキリル文字以外の様々な言語を扱うようになった今となっては、彼の気持ちが分かります。見慣れない文字だと、文字と認識しつつも絵のように見えたり、(実際はそうではないのに)象形文字のように見えたりします。「これはペンギンが水に飛び込んでいるところ(頭がすでに水面下に入っていて、翼だけが見えるところ)」(例1)、「これはトサカのある鶏」「この文字の上の記号はアイロンに見える」(例2、例3)などと感じる私の感覚は、その言語のネイティブスピーカーには驚かれるかもしれません。
最近はエスニック料理のお店も町中でよく見かけるので、お店の看板やメニュー表などに見慣れない文字があったら、どんなイメージが出てくるかじっと見つめてみるのも楽しいと思いますよ。
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