2020年の東京オリンピックを待つまでもなく、外国から東京を訪れる方が増えているように感じます。我が家は浅草に近いのですが、週末に界隈を歩くと、英語、中国語、タイ語、マレーシア語、韓国語、ドイツ語など色々な言葉が飛び交っており大変賑やかです。
平成23年10月に観光庁が行った調査によると、外国人旅行者が日本での観光で不満を感じた点は下記のようなものでした。
(調査『外国人旅行者の日本の受入環境に対する不便・不満』より)
- 公共交通のフリーパスが充実していない
- 日本円への両替が困難
- 海外発行のクレジットカードが利用できるATMがどこにあるのかを見つけにくい
- 無料公衆無線LAN環境が充実していない
- 広域の地図を入手しづらい
- 飲食施設などでの英語の情報が不足している
「2. 日本円への両替が困難」と「3. 海外発行のクレジットカードが利用できるATM」については、諸外国に比べてEXCHANGEの看板が少ないとは感じていましたが、やはり不満につながっているようです。タイのバンコクなどと比較すると、東京の両替所の数はかなり少ないのではないでしょうか。空港を出てからも両替できる場所を分かりやすく表示すること、またATMも取り扱いカードの種類や言語選択画面を目立つように提示することが必要だと思います。また、空港などで電子マネー媒体を積極的に販売すること、そのチャージ場所を増やすことも、煩わしい金銭のやりとりをスムーズにする手助けとなりそうです。
「4. 無料公衆無線LAN環境」については、都内でもバス停などに無料Wi-Fiの表示を見かけるのですが、導入が分かりにくいように感じます。そもそも公衆Wi-Fi環境も他国に比べて不足しているので、限られたものを有効に活用してもらうためにも、簡単な『つなぎかたガイド』をWi-Fi表示の近くに置く(もしくはステッカーなどで貼ってしまう)と親切だと思います。
私もチュニジアや韓国など、文字が読めない国へ行ったときに、食事の注文が最も困ったので「6. 飲食施設などでの英語の情報が不足している」には共感します。全く読めない中で情報を集めて注文するのも旅の面白さではありますが、予想外のものがテーブルに届いてしまったら困ります。2014年の夏に訪れたスペインのビルバオでは、レストランにiPadを利用した多言語版のメニューがあり、画面を使ってスムーズに注文できました。カラオケ店や回転寿司店などでは、すでに電子メニューの多言語化が進んでいるようですが、もっと多くの場所、言語に展開できたら日本を訪れる際の不安がひとつ減りますね。
日本語は他のどの国でも使われていない独自の言語です。言語が障害となって、せっかく訪れてくれた方々を不安にさせることのないよう、言語面のバリアフリーを真剣に考える時期が来ています。電子パネル、タブレットなどを活用して、更新の容易な多言語版を各所で用意することが、旅行者のハードルを下げることに繋がるはずです。願わくは、より多くの外国人旅行者の方が、都バスやメトロを自由に乗りこなし、昔ながらのおでん屋や、お惣菜の有名な商店街、銭湯、小さくても面白い博物館など、東京の多面的な魅力を存分に味わえますように。イデア・インスティテュートでも、翻訳業務を通してそのお手伝いができたらとても光栄です。
Japan Travel from John Carter on Vimeo.
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