巷にAIが溢れている。
昨今では身近な家電にAIが搭載され、製造、物流、金融、教育、農業、医療、スポーツなどあらゆる分野に浸透している。(それでも日本は、中国・米国・欧州主要4か国の中でAIに積極的な取り組みをしている企業が39%と最下位のようであるが)
我々の業界でもご多分に漏れず、AIの導入が叫ばれ続けている。
イデア・インスティテュートは翻訳会社なので機械翻訳(Machine Translation)がまず頭に浮かぶが、私は制作部門の人間なので、ここでは生成AI(Generative Artificial Intelligence)について触れていきたい。
生成AIとは
生成AIは膨大なデータから新しいコンテンツを生み出す技術であり、テキスト、画像、音声や動画などの様々なフォーマットのデータを生成する能力があり、クリエイティブな産業での導入が進んでいる。
自動でコンテンツを生成してくれるので、制作の現場では大変ありがたい技術であるが、大前提として「人間の指示」が必要となる。
大まかな流れとしては
人間の頭でイメージする→イメージの詳細を言語化、プロンプトとして指示→AIが生成
となる。
私が思い描いていたものは、ドラえもんが何かポケットから出してくれるかの如く、ボタンひとつで何でもかんでもいい感じに生成してくれる未来であったのだが。。。
これはまだまだ先の話のようだ。
其れはさておき、ここで重要となるのが言語化とプロンプト作成の部分である。
プロンプトとは
プロンプトとは言葉自体には「促す」「指示する」「刺激する」といった意味があり、そこから転じてAIへ与える指示や質問のこともプロンプトと呼ばれている。
ChatGPTなどの流行により、この言葉は日常的に耳にするものとなっている。
プロンプトの作成においては以下がポイントとなる
明確な指示を出す。
具体的な例を与える。
簡潔な指示にする。
適切な言葉を使う。
一度にすべて詰め込まない。
繰り返し試行錯誤する。
例えば犬の画像を生成したい場合
「かわいい犬」
でもこのようにかわいい犬が生成されるのだが
(Adobe Fireflyにて作成)
「緑溢れる公園を、元気に走り回るポメラニアンの仔犬」
といった感じで対象である犬の詳細と、その背景もプロンプトに含めると、AI利用者側がイメージしているものにより近いコンテンツが生成できる。
(こちらもAdobe Fireflyにて作成)
プロンプトは頭でイメージしたものを明確にかつ具体的に指示する事が必要となる。生成AIでは、具体的に記載のない要素はAIが補完して生成するため、イメージと違うコンテンツが生成されることがよくある。プロンプトをなるべく具体的に詳細に記載してAIが補完する要素を減らすことが、イメージ通りのアウトプットにつながる。
生成AIと著作権
また生成AIを使用する現場で懸念される点として、著作権の問題がある。
文化庁・内閣府が公表した「AIと著作権の関係等について」によると、
人が指示を与えず(もしくは簡単な指示を与えるだけで)「生成」のボタンを押すことでAIが生成したものは著作物に該当しないが、一方で、人が思想感情を創作的に表現するために「道具」としてAIを使用したものと認められれば、AI利用者が著作者になる。
とある。
現行の著作権法上、人間以外の思想や感情は認められていないので難しい部分である。
アウトプットされた生成物は著作物ではないが、プロンプト自体はプログラムの一部と考えられ、人間が創意工夫して、繰り返し試行錯誤したプロンプトは著作権の対象となるのか。
AIの進化とともにこの問題も今後議論が進んでいくはずだ。
AIが登場する以前から、プレゼンや商談などのビジネスシーンでは言語化能力が重要だと言われてきた。対象が人間でもAIでも正確に想いを伝える事が、今まさに求められている。
著作権やフェイクコンテンツの問題、人間の仕事を奪うなどマイナスなイメージもあるAIだが、効率や生産性の向上、暮らしを豊かにするという面でこの先避けては通れない技術であるのは確かである。AIとの対話を楽しみつつ、うまく使いこなしていきたい。
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