フェスティバルで見たお国柄

私はイタリア発祥の民族楽器であるマンドリンのアマチュアオーケストラに所属しています。
日本では、中学校や高等学校などのクラブ活動として取り入れている学校も多く、大学生や社会人のアマチュア団体も多くあります。海外でも活動が盛んで各国にアマチュア団体があり、国際的なフェスティバルなども企画されています。そこでいくつかの国で参加したフェスティバルの中から印象的だったことをご紹介します。

撥弦楽器(弦をはじいて音を出す楽器)というくくりで、マンドリンはロシアの民族楽器にも似ているため、ロシアで行われたフェスティバルに参加したことがあります。
ロシアの弦楽器といえば、三角形のバラライカが有名ですが、丸い形のドムラや、鍵盤楽器のようなグースリーなど、様々な民族楽器で構成されるオーケストラがロシア各地域にあります。各地域のオーケストラが一同に集まって、華やかな民族衣装と超絶技巧を競い合うようなとても楽しいフェスティバルでした。
一日に数団体が次々と演奏していきます。日本でのフェスティバルは運営側が各団体の出演人数を正確に把握してその通りにセッティング、しっかり順番にリハーサルして時間通りに進めていくのが当たり前ですが、ロシアでは、あらかじめ沢山椅子を並べておいて、好きなところに座って弾く、というシステムだったのが軽いカルチャーショックでした。リハーサルの時間などもどんどんずれてしまい本番は大丈夫なのか心配になったのですが、本番は一転、ほぼ時間通りに順調に進んでいきます。本番はなんとかなるのが「ロシアあるある」のようです。英語が話せない人も多いロシアの民族オーケストラのみなさんでしたが、心優しく、暖かく迎えてくださったのが今でも忘れることができません。

ドイツで参加したフェスティバルは、より規模が大きく、運営団体もしっかりしていました。遅れることなくきっちりリハーサルが行われ、それぞれの団体の演奏も素晴らしいものでした。ただ1つの難点をあげるとしたら、食事でしょうか。1つの町のいくつかの会場で複数のコンサートが並行して行われるため、昼食と夕食もフェスティバルのチケット代金に含まれています。大きな簡易テントが設置され、食事が支給されます。ミート、ベジタブル、ハラールの3種類から選べるところが多様性を重視していると思いましたが、ミートを選んだ場合は、例えばある日の昼食メニューは「ハムサラダ」でしたが、薄く切ったハムのみをドレッシングであえたもの(大量)とパンのみ、ミートだからお肉だけという潔いものだったのが驚きでした。ちなみに翌日は食べきれないくらい大きなソーセージが2本。野菜が欲しくなり、ベジタブルとミートのメニューをそれぞれ頼んで友人と分け合ってちょうどよかったです。

フランスでのフェスティバルでは、夏休み中のリセ(学校の寄宿舎)に宿泊しました。布団をもってくるように言われたのはびっくりしましたが(日本から持って行けるはずもなく、夏だったので軽いブランケットで充分でしたが)、さすが美食の国フランスで、学校の食堂でいただく朝、昼、晩のご飯がとても美味しく充実していました。ある日の昼食メニューは、パエリア、鶏肉のソテー、サラダ、グラタン、デザート、ワインでした。余談ですが、学校なのでアルコールは提供できないと事前に通達されていたにもかかわらず、ワインが提供されたことはうれしい驚きでした。ワインはフランスではアルコールの部類に入らないのかもしれません。
同フェスティバルでは、参加したスペイン、ドイツ、チェコ、ロシア、日本、フランスの団体の全員で合同演奏をしました。指揮者はフランス人ですが英語で説明をしながら、合奏を進めていきました。ロシアの高齢の女性は英語が分からないので、チェコの男性がロシア語に通訳してくれました。私たちの団体の指導をしてくださる先生は日本人ですが、ドイツに留学していたために英語よりもドイツ語が流ちょうです。先生に対してはフランス人指揮者の方もドイツ語で話しかけて、逆にドイツ人の方々が私たち日本人にそれを英訳してくれるという状況で、本当にいろいろな言語が飛び交いながら、音符という世界共通の記号が、人々をつないでくれました。

 

コロナウイルスの制限が解除されつつあり、止まっていた各国との行き来ができるようになってきました。ロシアとウクライナの情勢なども心配で完全に元通りとはいきませんが、音楽を通した交流がまたできるようになることを切に願ってやみません。

最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。

株式会社イデア・インスティテュートでは、世界各国語(80カ国語以上)の翻訳、編集を中心に
企画・デザイン、通訳等の業務を行っています。

翻訳のご依頼、お問わせはフォームよりお願いいたします。
お急ぎの場合は03-3446-8660までご連絡ください。