韓国の「バランスゲーム」とは?

「バランスゲーム」と聞くと、どんなゲームを思い浮かべるでしょうか。例えば「棒倒しゲーム」のように、アイテムを沢山積み上げて真ん中に棒を立てた山からその棒を倒さないようバランスに注意してアイテムを順番に取っていくゲーム、または片足立ちなどバランスを取りにくい姿勢を保って誰が一番長くそのままでいられるかを競うゲーム、などでしょうか。どちらもたいてい大勢で楽しむ遊びですね。

 

韓国で「バランスゲーム(배런스 게임)」と呼ばれる遊びがあるのですが、先にあげたゲームとは趣きが異なっています。簡単に言えば二者択一の質問ゲームです。日本でも以前流行した「究極の選択」と似た側面もあり、いくつか遊び方があります。
まず、二人の「相性の良さ」を調べるゲームとして、短い時間に二つのうち一つを選ぶ、という遊び方があります。回答者を二人選び、その二人に対して質問者が、「○○するなら、△か×か?」のような、短く答えられる二者択一の質問をします。質問が終わるとすぐ、二人がそれぞれ同時に自分の選択を大声で叫びます。短い言葉なので、同じ選択肢であれば二人の声がぴったり合います。どんどん質問をして、いくつぴったり合ったかで「相性の良さ」がわかるというわけです。単純に二人の好みがどれくらい合うかを試すこともあるし、二人一組をいくつも作って、どの組が一番答えが合うかを競ったりもします。質問と短い回答がテンポよく進んで、見ている人も楽しめるゲームです。

 

以前はバラエティ番組などで上記の遊び方を見かけることが多かったのですが、YouTubeやTikTokなどの動画配信が盛んになるにつれて、異なる遊び方のものもバランスゲームと呼ばれるようになっています。例えば、画面の左右に二つの選択肢が表示されていて、画面内の回答者たちはカメラに向かって縦一列に並び、先頭の人から回答しながら自分の選んだ回答の側(右か左か)に曲がり、ぐるっと回って再び列の最後尾につきます。そうやってぐるぐる巡りながら次々質問に回答していく、というものです。競うゲームではなく簡単なインタビューのようなもので、アイドルグループの配信動画などに見られます。これも二択ということで「バランスゲーム」の範疇に入るのです。
質問内容は、二択であればなんでも構わないのですが、答えやすい簡単な質問の例として、韓国らしい食べ物の二択をいくつか紹介します。

・치킨(チキン)は、순살(スンサル=純肉)か뼈(ビョ=骨)か

韓国人が大好きな「チキン」(鳥の唐揚げ)の、骨付きか骨なしのどちらが好きか、ということです。見た目もボリュームがあり部位が分かるのでより食べている実感がわく骨付きか、とにかく食べやすく、手も汚れず後片付けも楽な骨なしか。注文する時にいつも迷う選択肢でもあります。

・희(へ=刺身)には、와사비(ワサビ)か초장(チョジャン)か

韓国でも海産物は豊富で、刺身も有名です。チョジャンは、主に酢とコチュジャンを合わせた調味料で、野菜でも肉でも、様々な食材をこれに付けて食べます。もちろん刺身にも普通このチョジャンをつけるのですが、日本の「ワサビ」も有名ですのでこのように二択の候補になっているのです。

・탄수육(タンスユク=韓国式酢豚)は、부먹(プモク=かけて食べる)か찍먹(チンモク=つけて食べる)か

タンスユクは、片栗粉で揚げた豚肉と細切りの野菜を甘辛のたっぷりソースで頂く料理です。ソースは別の器に入って出てくるのですが、それを全部かけて浸して食べるか、ソースにつけながら食べるか、ということです。これは、プモク派、チンモク派、という言葉がよく使われるくらい、長年の論争の種でもある選択肢です。プモク派は、ソースをよく混ぜて食べる味が美味しいといえば、チンモク派は、サクッとした衣の食感を楽しむためには断然付けて食べるほうが美味しいと、どちらも譲らないのです。

 

このバランスゲームが、流行の移り変わりが激しいこの時代に継続して楽しまれているのは、シンプルな二択であることによって回答を選びやすくしたところでしょう。お題を日常生活習慣編、彼氏彼女編というように絞ったり、または極端な二択にしてみたり、いくらでも自由に設定できますし、質問の仕方も答え方も自由です。これからも形をかえて楽しまれていくゲームではないでしょうか。

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