会社の給湯室というのは、なんというかほっとひと息つける空間ですよね。
ドリップコーヒーにお湯を少し入れてしばし蒸らしている間や、ティーバッグをカップから出して滴りがおさまるのを待っているわずかな時間などに、仕事終わりに何しようかと考えたり、居合わせた同僚とちょっとだけ雑談ができたりして。
私はそんな給湯室に、いつもある種の風情を感じているのです。
古の歌人たちならそこで一首詠むのではないかと思うほどです。
そこで今回は、会社員が給湯室で体験するちょっとした心の動きを、いくつか短歌にして表現してみました。
給湯室短歌①
出社して コーヒー淹れる そんな時
リモートワークの 寂しさを知る
会社で仕事していると、ひと息つきたいタイミングがたいていみんな同じような時間帯だったりして、給湯室に行く時にはいつも誰かが先にいたり、あるいはちょうどトイレから戻ってきた人とすれ違ったり、何かしらの交流が生まれることが多いです。
リモートワークのいいところもたくさんありますが、こんなふうに給湯室で人との関わりがあると、在宅時の寂しさが際立ったりして…。そんな気持ちを表してみました。
給湯室短歌②
白ふきん 漂白剤と 洗面器
ひとのやさしさ こんなところに
コロナ禍の前は毎日全員出社で、給湯室の掃除も当番制で決まっていました。しかし今は在宅勤務の人も多いし、給湯室の掃除は誰がやるとは決まっていません。にもかかわらず給湯室のふきんはいつも真っ白なんです。だれかが率先して漂白してくれている…そんな素晴らしい行動に頭が下がり、天から「お前もやれよ」という声も聞こえてきて…。そんな感謝と自責の思いを歌にしてみました。
給湯室短歌③
お土産の おやつが並ぶ 給湯室
今年はどこにも 行けなかったな
ありますよね、ゴールデンウィーク明け、あるいは年明けに、ずらりと並ぶお土産たちをありがたくただ一方的にいただきながら、自分の変わり映えしない毎日に思いを馳せてしまうこと。よし、次の休みこそ遠出しようと、これが刺激になったりもするのです。その時は私も、お土産買って並べようと思います。
給湯室短歌④
道楽で カフェを開いて 一日中
コーヒー淹れて 暮らしていたい
多忙な日々であれば誰しも、こんなふうにほんのひとときの現実逃避を楽しむこともあるでしょう(ありますよね?)。宝くじが当たればなあと、なんとなーく思ってしまうこと、ありませんか(ありますよね?)。
本気ではないのです。
仕事にやりがい感じています。
コーヒーの香り漂う給湯室で見る、一瞬の白昼夢を表現してみました。
給湯室短歌⑤
夏場には アイスコーヒー 飲みたいが
氷を作るの めんどくさすぎ
最後は小学生の感想文みたいになってしまいました。しかし夏が苦手で毎年暑さで疲れている私にとっては、これが切実な話だったりするのです。
いかがでしたか?給湯室は素敵な空間ということが伝わったでしょうか。
ここでほっと一息ついて、仕事とは関係ないことを少しだけ考えたり話したりして、また仕事に戻る。そんなちょっとしたメリハリを、大事にしていきたいですね。
(今度は「会社のエレベーター短歌」に挑戦してみます)
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