「カザフ語にはキリル文字とラテン文字とアラビア文字の3パターンあります
「カザフ語」は中央アジアに位置するカザフスタン共和国の公用語の1つですが、どのような文字を使用すると思いますか?ロシアの影響を受けてキリル文字?それとも隣国である中国の影響を受けて漢字でしょうか?
正解は、「キリル文字」「ラテン文字」「アラビア文字」の3パターンです。
なぜ3パターンもあるのでしょうか。
それには歴史に翻弄されてきたカザフスタン共和国の歴史が影響しています。ソ連編入以前(1920-1940年代)はラテン文字を使用していましたが、編入後(1940年以降)はキリル文字が使われるようになりました。
ただ、ソ連解体後は次第にキリル文字からラテン文字に変更していく国が増えるにつれて(実際にトルクメニスタンとウズベキスタンでは現在ラテン文字表記となっています)、ラテン文字表記に切り替えようという動きがでてきています。
しかし、文字を変えてしまうと新たな文盲が発生する恐れがあったり、教育現場での混乱、また経済的観点からみても膨大なコストがかかる見込みのため、まだ実現されていません。
ではアラビア文字はどこで使用されているのでしょうか?
カザフスタン国内では19世紀末から1920年頃まではアラビア文字が使用されていましたが、今は使用されていません。
実は、中国新疆ウイグル地区に暮らしている約130万人のカザフ族もカザフ語を使用しています。カザフ族は中国の少数民族の1つですがほとんどの人がイスラム教を信奉していて、アラビア文字が用いられています。
同じ言語でも文化・民族によって文字が異なったり、1つの国でも2つの言語を使用する場合があります(ベルギーではオランダ語とフランス語が公用語)。日本は島国なのであまり実感がわきませんが、様々な言語に触れることでその国の歴史に触れたり、文化の違いを感じることができるのが多言語を扱う仕事の面白さの一つだと思います。
Amazing Kazakhstan from Denis Frantsouzov on Vimeo.
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