最近、中華料理店などで、「酸菜(さんさい)鍋」の三文字を見かけることが増えてきています。ネット検索すると、レシピもたくさん出てきます。
「酸菜鍋」は中国東北地方の家庭料理を代表する料理の一つです。中国東北地方は、冬になると、気温がマイナス30℃近くまで下がる寒い地域ですので、身体を温める料理として、「酸菜鍋」がよく食べられます。
「酸菜鍋」は、名前の通り、「酸菜」と呼ばれる漬物をメインに使います。私は中国東北地方出身なので、今回は東北地方で食べる「酸菜」について紹介させていただきます。
「酸菜」とは
「酸菜」は、野菜の保存期間を延ばすために生まれた食べ物で、中国の東北地方や南西地方でよく食べられています。味は塩味で、酸味があります。
「酸菜」の原材料は地域によって異なっていて、中国東北地方では、白菜を使います。昔は冬に食べられる野菜が少なかったので、値段の安い白菜で「酸菜」を大量に作って、冬を乗り切っていました。
「酸菜」の作り方
中国東北地方の「酸菜」は、白菜を自然発酵させて作ります。毎年10月中旬頃に作り始めて、約1か月後に食べ頃になります。
一般的な作り方として
- 白菜をきれいに洗って、甕(かめ)に入れます。
- 塩を白菜に対して1:24の分量で振り、白菜の上に重しを置きます。
- 重しをした状態で1日か2日放置した後、水を加えます。
- このまま約1か月位時間をかけて白菜を発酵させます。
作り方はとっても簡単ですが、白菜をきれいに洗うことが重要なポイントです。きれいに洗っていないと、発酵させている間に白菜が腐ってしまい、食べられなくなります。
「酸菜」作りには甕が必要ですが、昔は各家庭で作っていたので、ほとんどの家庭が甕を持っていました。家族の人数によりますが、高さ1m位、直径80cm位の大きな甕を持っている家庭もありました。今は「酸菜」を買って食べる人が多く、甕自体も場所を取りますので、持っている家庭もほとんどなくなりました。
「酸菜」の食べ方
「酸菜」は白菜を発酵させていますので、日本の白菜の漬物みたいなイメージを持たれるかもしれませんが、中国では「酸菜」を漬物のようにそのまま食べることはありません。
「酸菜」を甕から出した瞬間はとても臭いにおいがしますが、洗えばさほどきつくなくなり、食べる時はにおいません。
食べ方としては、一般的に鍋やしゃぶしゃぶ、炒めものとして食べます。千切りにして調理することがほとんどです。
①鍋で食べる
前述の「酸菜鍋」です。酸菜、豚肉、太めの春雨、凍らせた豆腐、生姜などの材料を煮込み、塩、醤油、味の素で味を整えます。非常にシンプルな鍋料理です。
②しゃぶしゃぶで食べる
しゃぶしゃぶで食べる時は、豆腐乳(トウフールー、豆腐に麹をつけて、塩水の中で発酵させた食品)と芝麻醤(チーマージャン、練り胡麻を加工した食品)を混ぜ合わせたたれにつけて食べます。
③炒めもの
酸菜、細い春雨、千切りにした豚肉を炒めて食べます。味付けは塩、醤油、鶏がらスープの素を使います。鍋、しゃぶしゃぶで食べる時より、酸味を少し強く感じることがあります。
最後に
日本に来てから、「酸菜」を食べる機会がほとんどなかったので、この「酸菜鍋」のメニューを見ると、とても懐かしく感じます。そして、自分がよく食べていた料理がついに日本に伝わってきたことを嬉しく思います。
機会がありましたら、是非「酸菜鍋」を食べてみてください。美味しいうえに、発酵食品なので、美肌効果も期待できますよ。
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