突然ですが「ちょっと待って!」の「ちょっと」を、数字を使って表現するとき、あなたはどの数字を選びますか?
「1分待って!」
個人的には本当にちょっとだけ待ってほしい…という思いやりも含めて使っています。
しかしそれ、本当に1分で終わりますか?
実はまさに先日、わたしに質問をしてきた同僚にちょっとだけ待ってほしくて思わず「1分待って!」と言ったら
「本当に1分ですね?……ハイ今30秒」と冗談でカウントされたうえに案の定1分で終わらず、勝手な思いやりは時に自分の首を絞めるものだと実感しました。
(そして同僚の1分カウントはもちろん冗談だったので、時間に囚われずに穏やかにまとまりました)
「3分待って!」
ウルトラマンは3分戦ったら撤収しますね。
日本で非常に馴染み深いカップ麺は、大体3分で出来上がりです。
日本特有の数字なのかもしれないとさえ思います。
「5分待って!」
「5分前行動」は、日本の学生から社会人まで、多くの方が繰り返し聞かされてきた言葉ではないでしょうか。
まさに今、私の3人の息子たち(小・中・高校生)も同様に、「5分前行動」を小さい頃から意識させられています。しかしながらよくあることに、1学期が終わったころにはその基準も緩くなり、登校時間ぎりぎりに滑り込むこともしばしば。
では、少し長い時間のスパンではいかがでしょうか?
「14時半までお待ちいただけますか」
「大体1週間くらいで完成するでしょうか」
30分刻み、1週間単位…。
何気なく使う単位であるものの、皆さんも普段あまり意識することなく使われているのではないかと想像します。
さて。
このような数字の単位について、わたしも大学生になるまで、そんなに意識したことはありませんでした。
意識するようになったきっかけは大学で、全部フランス語で展開される授業を受けた時のこと。
準備してきたはずの提示物が見当たらず、授業中に慌てて探していた教授から突然、こんな言葉が出てきました。
《 2 secondes ! 》
「ドゥ スゴンド」と読みます。
直訳すると「2秒!」
最初何を意味しているか分からず一瞬混乱しましたが、教授の焦りっぷりから「ちょっと待って!」はフランス語で「2秒!」と表現するのだろうと察することはできました。
しかし…ちょっと待たせるのに5分でも3分でも1分でもなく、2秒…。
いくら何でも短くない!?
そもそもフランスの方々はせかせかしない、大らかなイメージが私の中では強かったことも手伝って、2秒は衝撃的でした。
2秒で終わるわけないじゃない!とびっくりしたと同時に、相手を思いやって2秒くらいでどうにかしてやろうと思うのかしら?などと、その表現が生まれた背景に想いを巡らさずにはいられない事件でした。
どうして「2」なのか…
今回改めてわたしなりに色々調べてみましたが、当時と同じく由来まではたどり着けず、フランス語の2のスペルアウト=《 deux 》を、フランス語の辞書で調べてみて、第三意くらいの説明で「わずかな」が載っているところまででした。
フランス語の時間の表現には他にも、「15」という数字が結構出てきます。
先に挙げた
「2週間」をフランス語で表すなら
《 15 jours 》(15日)となります。
15分=15 minutesというだけでなく
quart (1/4)=15 分
demi (1/2)=30 分
moins le quart =マイナス15分=45分
という表現もあります。1時間=60分を1/4にした15分を元に、「15」をひとつの概念として捉えているのではないか、と思います。
一方、先ほどの例の通り日本語には「~時半」(=30分)という概念はありますが、15刻みの概念はあまり無いように思います。
最後に、朝・昼・晩の報道ニュースの放送時間についてです。
日本では、
- 朝7時
- 昼12時
- 夜19時
が大体基本ではないかと思います。
一方フランスでは
- 朝8時
- 昼13時
- 夜20時
が基本です。
全体的に日本より、1時間遅いですね。
日本とフランスにおいて、「ご飯を食べながらニュースを見る」という想定は共通しており、フランスでは全体的にゆっくりだということが分かります。フランスはサマータイムも導入していて、夏は冬より標準時間が実質1時間遅いのですが、それでも場所によっては22時くらいまで日の光が残っていたりします。この影響も多少あるのかなと思います。
個人的には留学先で、20時のニュースを見ながら夕ご飯を食べ、テーブルワインを飲みつつ、ホストファミリーとニュースについての感想や今日の出来事を色々話しあうのがとても楽しみで、かつ貴重な時間でもありました。
以上、日仏の時間感覚について、徒然なるままに書いてみました。
このように、言葉や国や地域によって時間の感覚の違いについて、根拠まではたどり着けずとも想いを馳せる機会を得て改めて、いつも自分が使っている数字に囚われすぎず、自分なりの気持ちのいい時間の使いかたを大事にしていきたいなあと思ったりしました。
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