東京オリンピック開閉会式におけるマツケンサンバ待望論

東京オリンピック・パラリンピックが閉会して約3ヵ月が経ちました。今回の東京オリンピック開閉会式は賛否両論あったようですが、その開閉会式でマツケンサンバⅡの起用を期待する声がツイッターなどのSNS上で数多く上がったお話は、ご存じの方もいらっしゃるでしょうか。

 当初この待望論がオリンピック開会式の数日前にツイッターのトレンドに挙がった際には、「なんて妙ちきりんな発想だろう。本当にこの案は採用されるのだろうか」と筆者は訝しみました。しかしその後よくよく考え直してみたら、実はこれがとても素晴らしい案なのではないかと思うようになってきました。

マツケンサンバⅡは俳優・歌手の松平健さんの楽曲であり、2004年にリリースされて人気を博し、同年の紅白歌合戦でも歌われました。しかしなぜオリンピック前のタイミングになってこの曲がSNS上でここまで支持されたのでしょうか?理由は幾つか考えられます。

和服姿のちょんまげの男性や日本髪を結った着物姿の女性バックダンサー(いわゆる「腰元ダンサーズ」)はいかにも外国人が伝統的な「日本」と聞いてイメージするような出で立ちをしていますし、とりわけメインの松平健さんは侍の姿で金色に輝く派手な着物を着て歌います。松平健さん曰く、1997年にアメリカ公演が決まった際、外国人のお客さんに気に入ってもらえるようマツケンサンバの衣装も踊りも思い切り派手にすることにし、「サンバといえばリオのカーニバル」ということで着物用に金色の生地をご自分で買いに行ったそうです。当初は「そんな金色に輝く着物は今まで見たことがない」とファンも唖然としていたそうですが、公演を続けていくうちにファンの方々も一緒に踊ってくれるようになったとのことです。

それに加えて侍とサンバという斬新な組み合わせ、底抜けに陽気で明るい音楽、皆で踊れる楽しいダンス、特に日本では(松平健さんの女性ファンのみならず)老若男女問わず馴染みがあり人気が高い楽曲である、などなど、世界中から人が集まるオリンピックという「お祭り」にふさわしいと思われる要素を沢山持ち合わせています。歌舞伎や富士山といった日本のイメージは外国人にとっては今やありきたりになっているそうなので、マツケンサンバならとても斬新な形で「和風」のイメージに切り込めたのではないかと思います。そんなマツケンサンバを開閉会式で演奏すれば、日本語が分からない外国の方々にも楽しんで一緒に踊ってもらえそうですし、皆で楽しく盛り上がれば昨今の陰鬱なムードを吹き飛ばせそうだと考えた人が多かったからではないでしょうか。

開閉会式での出演を期待する意見がネット上で数多く上がったものの、結局マツケンサンバⅡが披露されることはありませんでした。筆者としても「マツケンサンバいつ出てくるかなあ」と心待ちにしながらオリンピックの開閉会式を視聴していただけに、少し残念でした。いつか日本で開催される別の世界大会のイベントで、マツケンサンバⅡが披露されることを切に願ってやみません。

ちなみに、今年の紅白歌合戦の特別企画でマツケンサンバⅡが披露されるとのことです。大晦日を明るく楽しく過ごされたい方は、ご覧になってみてはいかがでしょうか?

参考:「マツケンサンバII」公式プロモーションビデオ
 

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