赤い服をまとった、白ひげのおじいさん。
そんなイメージで知られるサンタクロースが、子どもだった時の姿を想像したことはありますか?
今回はクリスマスの時期にぴったりな、サンタクロースの子ども時代を描いた文学作品を2つご紹介します。
まず1作目は、『When Santa was a baby』というカナダの絵本です。
タイトルにもあるように、サンタが赤ちゃんだった時の描写から始まります。
幼いころのサンタはというと、ちょっと変わっていて特別な子どもでした。
初めて口にした言葉は「ホ、ホ、ホゥ!」。
お気に入りの色はもちろん赤で、それ以外の色の服は着ようとしません。
それから暑さが大の苦手でした。子どもたちが太陽のもとで走り回って遊ぶ中、サンタは一人、家の冷蔵庫の戸を開け、立ちつくしていることもありました。
でも好奇心は旺盛で、特に自分でおもちゃを作って遊ぶことが大好きでした。
自分の意志は強く持っているけれど、ちょっと変わりもの。
そんなサンタが世界中を旅して子どもたちにおもちゃを届けるようになるまでの成長と、サンタを温かく見守る両親の姿が描かれた、ほっこりとする作品です。
日本語訳はまだ出版されていませんが、英語での読み聞かせ動画がありましたので、気になった方はのぞいてみてください。
次に紹介するのは『サンタクロース少年の冒険』という小説です。
原作は『オズの魔法使い』でも知られるアメリカの児童文学作家、ライマン・フランク・ボームによる『The Life and Adventures of Santa Claus』です。
今回取り上げる『サンタクロース少年の冒険』(畔柳和代訳)以外にも複数の日本語訳が出ています。
1996年には『少年サンタの大冒険!』というタイトルでアニメが放送されていたそうなので、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
今からはるか昔のこと、不死の妖精たちが暮らすバージ―の森に、突然人間の赤ちゃんが迷い込んでくるところから物語は始まります。
クロースと名付けられたその子どもこそ、後のサンタクロースです。
森の住人に囲まれてすくすくと育ったクロースは、ある日、きこりの長であるアークと一緒に森を離れ、人間が住む世界を旅することになりました。
そこで初めて外の世界を知ったクロースは、貧富の差やさまざまな悲運に苦しむ人々の姿に大きな衝撃を受けます。
彼らの役に立ちたい、とりわけ人間の子どもたちを幸せにしたいと考えたクロースは、住み慣れた森を出て、木で作ったおもちゃを病気の子どもや貧しい子どもにプレゼントする仕事を始めました。
一方その頃、世界ではオーグワと呼ばれる邪悪な一族が大きな影響を及ぼしていました。
子どもたちの笑顔を増やそうとするクロースの行動はオーグワに目をつけられ、クロースはとうとう囚われの身となってしまいます。
はたして、クロースはどのように悪の勢力に立ち向かうのでしょうか。
世界中の子どもたちを幸せにしたいというクロースの夢が叶うまでには、どのようなストーリーがあったのでしょう。
今回ご紹介した2作品ともに、物語はもちろん挿絵がとても可愛らしいので、イラストにもぜひ注目していただきたいです。
今年の冬は、文学を通してクリスマスを味わってみてはいかがでしょうか。
<参考>
『When Santa was a baby』(Linda Bailey/Geneviève Godbout、Tundra Books、2015)
『サンタクロース少年の冒険』(畔柳和代訳、新潮文庫、2019)
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