点心を作ってみよう~生地のお話

家族で中国上海市に住んでいたときに、日本人向け料理教室に通い「中式面点制作」(中国式点心作り)を学びました。中国人の先生でしたが、通訳してくれる日本人スタッフもいて、楽しい時間でした。4か月のカリキュラムの最後に実技試験もあり、職業訓練の修了証をもらうことができました。
教室ではシュウマイ・月餅・小籠包・水餃子・エッグタルトなど色々作りました。時間がかかる工程は下準備をしてくれているので、楽ちんでした。
点心では小麦粉を使い、具を包む皮やパイ生地を作ります。生地について学んだことを、以下でご説明します。 

  • 小麦粉の種類

– 強力粉:硬質小麦が原料。たんぱく含有量が多い(約11.5~13.0%)。パンやピザ、中華麺など。

– 中力粉:中間質小麦が原料。たんぱく含有量が中くらい(約9%)。うどんや餃子の皮など。

– 薄力粉:軟質小麦が原料。たんぱく含有量が少ない(約6.5~9.0%)。お菓子や天ぷらなど。

強力粉、中力粉、薄力粉は、原料小麦の品種が異なります。上記の3種以外にはパスタの原料となるデュラム小麦が有名ですね。パスタが黄色いのは、デュラム小麦そのものの色だそうです。
小麦粉の約7~13.5%はたんぱく質です。そのうち大部分が「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質です。小麦粉に水を加えてよくこねると、「グルテニン」と「グリアジン」から「グルテン」が形成されます。グルテンは弾力性と粘着性をもっています。このグルテンの働きにより、パンがふくらんだり、コシのあるうどんができます。
日本のスーパーマーケットでは、強力粉と薄力粉が売られていますね。中国で一般に売られている小麦粉はすべて中力粉で、その中でも強力粉寄り・薄力粉寄りの違いがあるそうです。日本で点心の生地を作るときは、強力粉と薄力粉を半々で混ぜると、中力粉として使うことができます。

  • うき粉

小麦粉のでんぷん成分です。小麦粉からタンパク質を取り除き、精製して作られます。点心では透き通ったエビ餃子の生地に使います。

  • 水の温度

– 熱湯:生地にコシが出て、高さがある、縦に細長い形の点心を作ることができます。色は茶色くなります。
熱湯で生地をこねて焼売(シャオマイ)を作ります。上海の焼売は、日本の焼売とは具も生地もまったく別物で、茶色くて縦に細長い巾着のような形をしています。お店では味付きのもち米入りのものをよく見かけました。

– 冷水:白くもちもちした食感になり、柔らかくなるため、高さがある形は作れません。
水餃子や小籠包を作るときは、冷水で生地をこねます。

– ぬるま湯:熱湯と冷水のときの中間の性質で、適度なコシともちもち感になります。
ぬるま湯で生地をこねて、金魚やおしどり、冠の形の飾り餃子を作ります。色をより白くしたいときは中力粉ではなく薄力粉を使います。

  • おまけのお話

最近は日本にも小籠包のお店ができて、気軽に食べられるようになりました。小籠包はレンゲの上に載せて皮をやぶると、熱々のスープがあふれ出て、美味しいですね。ゼラチンで固めた煮こごりを別に作り肉餡に混ぜると、蒸したときにゼラチンが溶けるので、熱々のスープが皮に包まれた状態になります。煮こごりは、本格的には豚の皮を煮出して作るのですが、家庭ではゼラチンと鶏がらスープをお湯に溶かして簡単に作ることができます。

点心は形や種類が豊富で、見るのも食べるのも楽しいですね。皮を作る人、包む人と分担すると手際よく作れるので、今度家族と一緒に挑戦しようと思います。

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