種類豊富な日本酒を楽しみませんか

日本酒の魅力を再確認したきっかけは、なぜかベルギー旅行でした。
ベルギーには各地域に伝統をもつビールの醸造所があり、それぞれに特色あるビールが数種類、醸造されています。旅行をきっかけに濃厚でさまざまな味わいがあるベルギービールの虜になり、日本に帰ってからもベルギーの地図と銘柄の一覧表を眺めては、あれこれ飲んでみたいなと思いをはせていました。あるときふと、このように国内各地に点在してお酒を醸造しているのは、フランスでいうところのワインや日本の日本酒と同じではないかと感じるようになりました。

私が生まれ育った新潟県のとある市には3軒の造り酒屋があって、それぞれの銘柄で数種類の地酒を醸造しています。中には江戸時代から続く酒蔵もあります。同じように県内では至る所で、我が町の酒蔵というべきものが存在しています。もともと日本酒も大好きでそこに酒蔵があるのが当たり前のように思っていましたが、これは日本の誇るべき、そして守るべき文化であるということに改めて気がつきました。日本全国には酒蔵が1,100場以上あるそうですが、残念なことに50年前から数えると1/3に減ってしまっているそうです。

日本酒と一言でいっても、いろいろな種類があります。酒米(さかまい)と米麹だけを使用する純米酒、醸造用アルコールを添加して品質を安定させる本醸造、さらに酒米の磨き具合によって吟醸酒、大吟醸酒、という区別があります。また、通常の日本酒は発酵を止めて味わいを一定に保つために2回火入れをしますが、火入れをしない生酒というものもあります。1回火入れをする場合もタイミングによって生貯蔵酒、生詰(なまづめ)などの種類があります。酵母の種類や培養の仕方でも味わいが変わってきます。酸味や甘み、濃さ、フレッシュさ、その味わいはそれぞれに違っています。甘すぎずすっきりとしたお酒はどんな食事にも合いますし、爽やかな酸味でワインのような感覚で楽しめるお酒もあります。同じお酒でも温度によっても楽しみ方が変わります。温度毎に風情のある名前が付いています。冷たい順に、雪冷え(ゆきびえ)、花冷え(はなびえ)、涼冷え(すずびえ)、常温(ひや)、日向燗(ひなたかん)、人肌燗(ひとはだかん)、ぬる燗、上燗(じょうかん)、熱燗(あつかん)、飛びきり燗(とびきりかん)などです。きりりと冷やした日本酒はシャープな味わいがしますし、ごく薄くスライスした生ハムを熱燗でいただくと脂が口の中で溶けて香りが広がります。和食だけでなくどんな料理にも合うお酒が見つかります。

近年、主原料の米以外にハーブや果物などの副原料を混ぜて発酵させる「クラフトサケ」と呼ばれる新しいジャンルのお酒もあります。背景には新しく日本酒の蔵元を立ち上げる認可が下りないという問題があります。日本酒全体の消費量が減っている中で、新規参入が増えると需要と供給のバランスがとれなくなるためだそうです。また、日本酒製造の免許を取得するための最低製造数量を満たすのが難しいという問題もあります。そのためあえて日本酒の基準から外れるように醸造しているとのこと。まだいただいたことはないのですが、フルーツやハーブの香りがするのでしょうか。それを聞いてベルギービールを思い起こしました。ベルギーのフルーツビールも伝統的なさくらんぼや木苺を使った醸造に加えて近年新しい醸造方法が開発されて、これまでとは違う種類のフルーツ(以前は寒冷地では栽培できなかったバナナやパイナップルなど)でも作られるようになっているそうです。ベルギーのビールも日本のお酒も、伝統を生かしながら若い感性で新しい味わいがどんどん作り出されています。

いまは全国の蔵元のいろいろな日本酒が少しずつ楽しめるようなお店も増えていますし、百貨店などでも多くの種類が販売されています。飲み比べてみて、自分の好きなタイプの日本酒を探してみるのはいかがでしょうか。

参考サイト:
酒蔵マップ等|国税庁 (nta.go.jp)

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