翻訳会社にとって翻訳者はとても大切な存在です。
イデア・インスティテュートでは、お仕事をお願いしている翻訳者の方についてもっと知りたいという思いから、コロナ前はできるだけ直接お会いする機会を設けていました。東京近辺の方はご来社いただき、お互いの情報交換をしていました。また、遠方の方にはこちらから会いに行くこともありました。コロナ禍になってからは何回かお仕事を依頼したあとにオンライン面談を提案させていただくことがあります。翻訳の仕事はメールだけでも完結できますが、直接お話することでまた新たな発見がありますし、コミュニケーションをとることでお互いの信頼関係が深まる気がします
いまからかなり昔の話になってしまいますが、翻訳の会議に出席するため、海外出張をする機会が何度かありました。会議に参加するだけではなく、海外在住翻訳者に会うことも目的のひとつでした。そのなかで最も印象に残っているのはスペイン・ポルトガル・イギリスの3か国でおこなった翻訳者面談です。
海外、初めての場所、初めて会う人、初めての面談、しかも英語で(!)というのは当時の私にとってハードルが高いものでしたが、先輩とともに必死に準備をしたことを思い出します。最初の難関である英語は語学学校に短期間、集中的に通いました。英語面接の練習をしたいとリクエストをすると、英会話講師の方たちに「海外まで面接に行かなくても僕も翻訳できるよ」と逆にアピールされることも多々ありましたが、丁寧にこちらの要望を聞いていただき面接のアドバイスをもらいました。そしてなんとか面接用台本が完成!週末、先輩のご自宅で美味しい手作りランチをいただきながら何度もシミュレーションをしました。だいぶ年季がはいっていますが、その台本は今でも大切にとってあります。
9日間で3か国まわり、12名の方にお会いしました。最後の2日間はロンドンで会議に出席したため、実質移動も含めて面談に費やしたのは5日間です。
日本と取引されたことがない方たちばかりだったため、相手の方の不安もとても大きかったと思います。それでも翻訳業界について意見交換をするうちに、私たちの仕事の進め方・品質についての思いを理解していただくことができました。お会いした方々が時間通りにいらっしゃって楽しくお話できたこと・包み隠さずオープンに翻訳業界について・ご自身の環境について・お国自慢などもお話してくださったことがとても印象的でした。そして海外の翻訳業界について個人の翻訳者の方から直接伺うことができたのは、その後の採用を進めていくうえでとても参考になりました。
初めての海外出張が全て順調だったかというとそうでもなく、ドキドキしたこともありました。
まずは出張当日。余裕をもって家を出たのですが途中で山手線が止まってしまい、新宿駅に到着したのは成田エクスプレス出発時間の数分前。もう間に合わないかもと思いながらも、JRの山手線ホームから成田エクスプレスホームまでスーツケースを持って必死に走りました。無事に成田エクスプレスに乗った瞬間、背中の後ろでドアが閉まって冷や汗をかきました…
イギリスでは郊外の空港(ロンドン・ガトウィック空港)に到着したのが夕方遅く、ブラックキャブ(ロンドン交通局認定タクシー)ではないタクシーに乗車してしまいました。最初は運転手の方と仲良く会話していましたが、ロンドン市内に入ると同じところをぐるぐるまわってホテルまで迷った挙句、ホテルの場所が分からないからお金を払ってタクシーを降りるように言われてしまい、途中でタクシーから降ろされてしまいました。すぐそばを通りかかったブラックキャブに無事にホテルに送り届けてもらうことができましたが、ちょっぴり怖い思い出です。
楽しかった思い出としては…
- 面接の後に地元のレストランに行って食事をしたこと
食事が抜群に美味しく、面接の疲れが一気に吹き飛びました!特にスペインのバルで食べたタパス、そしてポルトガルで食べた魚介料理は美味しかったです。
- タクシーで市内を観光できたこと
ポルトガルのポルトでの面談は時間がないため、翻訳者の方にポルト空港まで来ていただき、空港で面談を行ないました。面談も無事に終了して「さあ飛行機に乗る時間」と思ったら数時間遅延するとのこと。数時間も空港で待つのはもったいないのでタクシーで観光できたのはラッキーでした。そしてポルトはとっても景色が綺麗でした!ポートワインも少し味わうことができたのはいい思い出です。
スケジュール調整や面談準備、不在時の仕事の調整に会社への毎日の報告など大変なことも多い出張でしたが、とてもいい経験になりました。社内にいるとどうしても目の前の仕事に追われがちです。常に短納期の仕事に追われて視野が狭かった私にとって、海外の翻訳業界について知ることができたのは大きな収穫でした。
インターネットさえあれば簡単にコミュニケーションがとれる時代ですが、直接会うこと・話すことは本当に重要だと思います。綿密なコミュニケーションによってお互いの理解を深めることがいい仕事への第一歩だと思います。
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