ドイツ 冬の一大イベントWeihnachtsmarkt

ドイツのクリスマスと言えば、Weihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクト)。
ミュンヘンのような大都市から、地方の小さな町まで、各地に出現するクリスマスマーケットだ。

Glühwein (グリューワイン)

例年、11月末から約4週間開催される一大イベント。暗く寒いドイツの冬の夜が、カラフルなライトやデコレーション、商品の美しいディスプレイで華々しく彩られる。どこに行っても、その街一番の広場に出店(でみせ)が所狭しと並び、湯気の立つ美味しそうな料理、クリスマスならではのスイーツや雑貨、更には箒や食器などの日用品まで、様々な物に目を奪われ、ワクワクが加速していく。 ドイツの冬は本当に寒く、体の芯まで冷える。夢中になってWeihnachtsmarktを周っていると、あっという間に体温を奪われてしまう。そんな時、多くの人がマグカップの熱で手を温めながら飲んでいるのは、ホットワイン。ワイン(主に赤)にシナモンやクローブなどのスパイス、オレンジの輪切りなどのフルーツを入れて煮込んだ飲み物で、Glühwein (グリューワイン)と呼ばれる。街ごとに、その年限定デザインのマグカップが登場するため、各地のWeihnachtsmarktを巡ってそのデザインの違いを見るのも楽しい。マグカップ代はデポジットとしてGlühweinの料金に含まれているので、飲み終えた後に持ち帰ることもでき、何年にどこに行ったかが分かる思い出にもなる。
Glühweinでほっこりと温まったら、さあ、2周目のスタート。

Lebkuchen (レープクーヘン)

日本でも近年馴染み深いStollen (シュトレン)やBratwurst (ブラートヴルスト=焼いたソーセージ)は、定番の一品。それ以外にもWeihnachtsmarktで欠かせない物は数多くある。その中で特に目を惹く物の一つはLebkuchen (レープクーヘン)だろう。Lebkuchenは、ジンジャーやアニスなどのスパイス、はちみつ、レモンピールなどのフルーツ、更にはナッツ類まで入ったとてもスパイシーな焼き菓子で、食べても美味しい。出店の軒先に、ひしめき合うようにリボンで吊るされたハート型やツリー型のLebkuchenの存在感は圧巻。そこには、カラフルなアイシングのデコレーションと共に、Ich liebe Dich (イッヒ・リーベ・ディッヒ= I love you) やFrohe Weihnachten (フローエ・ヴァイナハテン= Merry Christmas) などのメッセージが書かれている。メッセージの種類は豊富にあるので、自分の気持ちに合った物を探し、大切な人へ贈るのもWeihnachtsmarktの楽しみ方の一つ。
メッセージが書かれていない、おやつ向けの物も色々なタイプがある。地方によって形状は異なり、ビスケットのような固焼きタイプや、パンのようなしっとりタイプなど様々。日本のお菓子ではあまり馴染みがないスパイシーさに、初めは戸惑うかもしれないが、食べ慣れると手が止まらなくなる。

スイーツに満たされ、甘くない物が食べたくなった時、日本で見慣れた肉まん型の食べ物があることに気付くだろう。コンビニのレジ横にあるあの保温器と瓜二つのケースに吸い寄せられ、肉まんかピザまんかを確認するより早く、しょっぱい物欲しさに一つ注文。コンビニの肉まんより一回り以上大きい、ふっくらとしたそれを店員さんがケースから取り出し、紙皿に乗せる。すると、何やら黄色っぽいソースをたっぷりと掛け、それを覆い隠す。店員さんから紙皿を受け取って、待望の一口。………甘い。
その正体は、Dampfnudel (ダンプフヌーデル)。肉まんの類ではなく、具のない蒸しパンのような物でカスタードソースなどをたっぷり掛けて食べる、それは甘い、甘いスイーツなのだった…

新型コロナウイルスが大流行し、ほとんどの街でWeihnachtsmarktが中止となった2020年。 今年はWeihnachtsmarktの温かな明かりがすべての街にまた灯り、そこに集う人々がすぐ隣で笑い合える、そんな冬が戻ってくることを祈って。

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