スペインから日本に帰国して驚いたこと

以前、何年間かスペインに住んでいたことがあるのですが、海外で生活してみるとそれまで気づかなかった日本の特色が見えてくることがあります。
電車内の詳細な案内アナウンスや、自動販売機の多さなど、久しぶりに日本に帰国したときに驚いたことはいろいろあったのですが、一番驚いたのはスーパーでレジ打ちをする店員の方々がとても丁寧で、そしてよく喋るということでした。

レジ前に並び、自分の番が来て台にカゴを置くと、店員さんはすぐにしゃべり始めます。

「お待たせいたしました、いらっしゃいませ」

「カゴはこちら、おふたつでよろしいでしょうか」
(後ろに並んでいる人のかごと取り違えないように確認してくれる)

「ポイントカードお持ちでしたらお願いいたします」
(出し忘れることが無いように聞いてくれる)

「きゅうりが1点」

「梨が1点」

「ジャガイモが2点」

「人参が2点」…
(この調子でバラ売り野菜と果物の品名と点数を全て確認してくれる)

「シャケの切り身が2点」

「アジが…2尾でございますね」
(バラ売りの魚も確認してくれる)

「こちらは袋にお入れいたします」
(大きめの肉のパックはサッカー台に備え付けの小さいビニール袋に入らないのでレジで大きいのに入れてくれる)

「ここまででカゴをお取り換えいたします」
(カゴが2個以上あると確認してくれる)

「こちら20%お引きいたします」
(おつとめ品も読み上げる)

「こちらは…いちにさんし、4点でございますね」
(同じ物を複数買うと数を確認してくれる)

「お箸はご利用ですか?」
(お惣菜やお弁当を買うと聞いてくれる)

「ドライアイスはご利用になりますか?」
(アイスを買うと聞いてくれる)

「お待たせいたしました。以上合計が、税込で5,238円でございます」

「ポイントカードはよろしいでしょうか」
(2回目!)

「駐車券のご利用はよろしいでしょうか」

「こちら1万円、お預かりします」

「4,762円のお返しでございます、お確かめくださいませ」

「レシートのお返しでございます」

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
(お辞儀して、そのあとすかさず)

「お待たせいたしました。いらっしゃいませ」

日本のスーパーのレジの店員さんは、このようにずっとしゃべり続けなければならないのです。当時2年振りくらいにこの経験をした私は、その姿に圧倒され、サッカー台でしばらく呆然としました。
日本にいたときには特に意識しなかったことでした。それが当たり前と思っていたのでしょう。

最近ではこれに「レジ袋のご利用はどうされますか?」「有料ですがよろしいでしょうか」と言うやりとりも追加されています。
店員さんはそれを全て口頭で、一人一人丁寧に、確認しています。

もしこれがスペインなら、店員さんは、

「35ユーロ、20セント」

これだけです(要するに最後の値段のところだけ)。
ほかはなんの確認もありません。

しかも大抵のスーパーには品物を詰めるためのサッカー台がないので、店員さんがピッピっとバーコードを読み取ったら、買い物客はその場で即、品物をどんどん袋に入れていかなければなりません。日本のように、読み取り中ボーッとはしていられないのです。その動作が遅いと「チッ」なんて舌打ちも飛んできます。次のお客さんが詰まっていると「早くどけてくんない?」とお叱りまで飛んできます。なかなかのサバイバルです。

でも一方で、「ほんと今日は暑くて嫌になるわよね〜」「その財布可愛いわね、どこで買ったの?」なんて世間話も気軽にできたりするのです。
日本のスーパーだと、店員さんとお客さんの談笑は、あまり見かけませんね。

昨今のコロナ禍で日本ではレジの前にビニールカーテンが吊るされるようにまでなり、店員さんのこの読み上げ作業が少しは減るかなと思っていたのですが、我が家の最寄りスーパーでは特に何も変わっていません。
スペインでよく通っていたあのスーパーでは、店員さんとの世間話は減っているのかしら(たぶんこれも減ってはいないだろうな)と、懐かしく思い出してしまうこの頃です。

最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。

株式会社イデア・インスティテュートでは、世界各国語(80カ国語以上)の翻訳、編集を中心に
企画・デザイン、通訳等の業務を行っています。

翻訳のご依頼、お問わせはフォームよりお願いいたします。
お急ぎの場合は03-3446-8660までご連絡ください。