シングリッシュって何?

シングリッシュ」という言葉に聞き覚えがある人も多いかと思う。けれど「ところで、それって何?」とあらためて尋ねられると、パッと答えられない。10年以上翻訳会社で働いているが、シングリッシュの案件は無かった!(笑)

私の認識としてはせいぜい「多民族国家のシンガポールで使用されている、色々な言語がごちゃまぜになった、英語ベースの話し言葉“Singapore English”

程度の知識。ここは一ついい機会なので、もう少し「シングリッシュ」に触れてみようと思う。

現在シンガポールでは中国語(福建語)、マレー語、タミル語が公用語となっているが、それぞれの民族間や観光客との会話はすべて英語を使うようだ。例えば、マレー系の友人同士で会話をしている時はマレー語で話し、そこに中国系の友人が加わるとシングリッシュに切り替えるという様にかなりフレキシブル。

そして“良い加減”なのは会話だけでなく、文法、発音、ライティング全てに渡るのである。以下を参照頂きたい。

<基礎知識>

  • 中国語やマレー語に過去形・未来形がないためか、時制の変化がなく全て現在形で表現する。また、主語・三人称・be動詞も無視される事が多い。
    (例)「昨日学校に行った。」→ “I go school yesterday.”
    Don’t be shy!” → “Don’t shy!”
  • 語尾にlah maが付く
    特に大きな意味は無いようで、“OK lah!”OKだよー!)、“Can not lah!”(できないよー!)と言う感じで使われる。何だか沖縄弁の「〜サー!」に似ているな。また、“〜lah?”や“〜ma?”のように語尾を上げる事で疑問文にする事ができる。
    No problem, lah?大丈夫?)
  • 単語は英語だけど、文法は中国語?
    What do you eat?(何食べる?)をYou eat what?と言ったりするようだ。中国語の「you」「eat」「什么what
    と併記してみると確かに非常に分かりやすい。
  • 単語の発音は短く、最後の子音は発音しない。
    Car park”は「カッパッ」、“Japanese”は「ジャパニッ」と聞こえる。
    そして“Think”も「チンク(ting)」と発音されるのも特徴の一つらしい。
  • 同じ単語を繰り返して使う(強調のため)
    「もしもし」→ “Hello, hello”、「できるよ!」→ “Can-can!”
  • 発音、アクセントが中国語っぽい?
    検索して見つけた動画でシングリッシュの会話を聞いてみたら、これがもう中国語にしか聞こえない。初めて聞いたがまさに最初はその一言に尽きて、注意して聞くと使っているのは英単語だなという印象だった。

<その他よく使う表現>

  • Go by?
    タクシーに乗った際に運転手に聞かれる、「どの道通る?」という確認のための表現。
  • Is it?
    「ほんと?」(Are you sure?)のニュアンスでよく使われる2語。相づちとしても使用されるもよう。
  • Take away
    テイクアウトではなく、テイクアウェー。シンガポールでは「お持ち帰り」はこちらの言い方の方が多いようだ。

以上、シングリッシュSinglish)について一通りトピックを並び上げてみると、行った事もないシンガポール国が大変に身近な国のように感じられる。そこには、多種多様な民族によって構成された国の中で隣人同士が、「言葉が通じないと困るなぁ」からスタートし「細かい事は抜きで!分かればいいでしょ?」でゴールした「良い加減」の文化があるからだと思う。全く持って、肌に合う。

現在、そんなシンガポールの政府はシングリッシュTV等の公共放送で禁止し、言語の統制を行っているようだ。

必要だから生まれた文化は根強く、まだまだ残り続けて行くだろうなと思うが、変わってしまう前にまずはこの国に行ってみたいと感じた。

the singlish from md azhari on Vimeo.

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