みなさんは今日やるべきタスクはありますか?
「この仕事は絶対今日中に終わらせないと……」「寝る前にお皿を洗わなきゃ……」など、やらなければいけないことがたくさんあるかもしれません。
今回は、そんな忙しい時に使える便利な方言をご紹介します。私の出身地である鹿児島県沖永良部島の方言です。
沖永良部島では、「~しないといけない」を「~しまい」といいます。
「~まい」は、動詞の後ろに続けて助動詞のような使い方をします。(日本語の助動詞は活用しますが、「~まい」は活用しないので助動詞とは言えないかもしれません。)
いくつか例を挙げてみましょう。
する+まい→しまい(しないといけない)
やる+まい→やりまい(やらないといけない)
行く+まい→行きまい(行かないといけない)
こんな感じです。「仕事を終わらせまい」「お皿を洗いまい」などと表現することができます。「~まい」を使えば、共通語の「~ないといけない」よりも短く言うことができます。日常生活でたくさん使えそうな表現ではないでしょうか。(日常生活には、しなければならないことがたくさんありますからね……)
1つだけ注意点があります。
それは、「~まい」は未然形ではなく連用形に接続するということです。例えば、「宿題をやらないといけない」は「宿題をやりまい」が正しい形です。これを「*宿題をやらまい」と未然形にしてしまうと、かなり違和感があります。場合によっては、すぐには意味が通じないかもしれません。
共通語で「~ないといけない」と言うときは未然形接続なので、慣れるまでは難しいかもしれません。実際、この方言を本土の友人に教えると、最初は未然形に接続してしまうことがとても多いです。
でも、安心してください。「~ます」を接続するのと同じ形だと覚えていれば間違いありません!間違いを恐れず、ぜひどんどん使っていきましょう。
ところで、私は本土で生活するようになってから、この「~まい」が通じないことに驚いたものです。口語的な表現であることは認識していたものの、島の方言だとは思っていなかったのです。特に、メッセージでのやり取りでいちいち「~ないといけない」と打ちまいなのは、長くて面倒だなあと思ってしまいます。
この方言の面白いところは、島の年配の方は使わないということです。あくまでも私が個人的に家族や知人に聞いて調べた結果ではありますが、この方言を使うのは比較的若い世代のようです。私の家族の中では、50代の父は使いますが、70代の祖母は使いません。
沖永良部島の伝統的な方言(島口)は、与論島や沖縄本島北部の方言とともに「国頭方言(国頭語)」に分類され、ユネスコの「消滅の危機にある言語」に指定されています。今回取り上げた「~まい」は、この伝統的な島口の表現ではないようなのです。私は、2年前に帰省した際にこのことを知り、島口とは別に「島口をあまり話さない世代の方言」というものが存在するのが興味深いと思いました。言ってみれば、「島の若者ことば」みたいなものでしょうか。
沖永良部島で生まれ育った私にとって、「島の方言」といえば「祖父母が話す、私には理解できない昔の言葉」を指すことがほとんどだったため、自分たちの世代が話している島の方言があることを知って驚きました。島口の話者は年々減っていますが、方言がすべてなくなって共通語に完全に同化していっているわけではなく、島口ではない方言も存在しているのです。
方言の話題では、関西弁や東北弁といった地域特有の方言が語られることが多いと思います。このような横の視点に加えて、世代という縦の視点でも観察してみると、方言の新しい姿が見えてくるかもしれません。
参考文献
助動詞(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A9%E5%8B%95%E8%A9%9E_(%E5%9B%BD%E6%96%87%E6%B3%95)
消滅の危機にある言語・方言(文化庁)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/kikigengo/
最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。
株式会社イデア・インスティテュートでは、世界各国語(80カ国語以上)の翻訳、編集を中心に
企画・デザイン、通訳等の業務を行っています。
翻訳のご依頼、お問わせはフォームよりお願いいたします。
お急ぎの場合は03-3446-8660までご連絡ください。



