皆さんは普段よく飲むコーヒー発祥の地がアラブだということをご存じでしょうか。コーヒーの原産地はエチオピアだと言われていますが、コーヒー文化が広く普及したのはアラブです。その後、トルコを通じてヨーロッパにも広がりました。コーヒーはアラビア語で「カフワ」と言いますが、それがフランス語の「カフェ」や英語の「コーフィー」の語源になったとされています。
私はかつてシリアに留学していたことがありますが、そのときに初めて本場のアラビックコーヒーと出会いました。日本のコーヒーはフィルターを使ってドリップするのが主流ですが、アラビックコーヒーは粉状に細かく挽いた豆を、お湯が入った小さな鍋に直接入れて煮出して作るのが特徴です。豆を挽くときにカルダモンというスパイスも入れて一緒に挽くので、とても独特でエキゾチックな香りがします。お好みで砂糖を入れることもありますが、あまり一般的ではありません。しばらく煮出したら小さなカップに注ぎ、粉が沈むのを待って上澄みを飲みます。
飲み終わるとカップの底に澱のような粉が残りますが、カップをひっくり返してしばらく置き、残った粉の模様を見て運勢を占うコーヒー占いというものもあります。私の友人でコーヒー占いができる人は残念ながらいませんでしたが、それでもコーヒーを飲むときには友人たちとのたわいもないおしゃべりは欠かせないものでした。私の個人的な印象ですが、アラビックコーヒーはひとりでじっくり味わうものというよりは、みんなで一緒に楽しむものというイメージがあります。また、ゲストへのおもてなしとしてコーヒーが振る舞われることもよくあります。そういう意味で、アラビックコーヒーはアラブ社会における重要なコミュニケーションツールのひとつと言えるのかもしれません。
下宿先のおばさんが「一緒にコーヒー飲まない?」とよく声をかけてくれたことや、ダマスカスの路地のカフェでおじさんたちが昼間からコーヒーや水タバコのパイプを片手にバックギャモンを楽しむ姿も、留学中の懐かしい光景として今でも記憶に残っています。
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