翻訳のチェックいろいろ
原稿を用意して翻訳者に送り、期日までに翻訳が納品されたらハイおしまい、だと楽なのですが…
実際には原稿の意図が正しく翻訳者に伝わらないこともあるし、人間のやることなのでうっかりミスもあります。また、正しく翻訳されたものが編集作業のミスでおかしくなることだってあり得ます。そういうわけで翻訳のあとのチェックは、正しい文書を世に送り出すためにとっても大事です。
代表的なのはネイティブチェック。その言語を正しく理解する人によるチェックで、誤訳や文法ミス、スペルミスがないか確認します。(細かいスペルミスは目視では見逃しやすいので、スペルチェッカーも併用します。)
内容によってはこのネイティブチェックだけで完結するかもしれませんが、取扱説明書のように分量が多くテクニカルな内容の制作物では、さらに押さえるべきチェックポイントがいろいろあります。いくつかご紹介しましょう。
文の過不足はないか?
原稿の各文に対して必ずしも1対1で翻訳されているとは限りませんが、句読点や記号を手掛かりに、原文がもれなく&ダブりなく翻訳されているかをチェックします。
数値は正しいか?
製品仕様や問い合わせ先、日付などに含まれる数値情報。ここに誤りがあると、ユーザーにとって不利益となるので、大変重要な部分です。機械的なチェックやダブルチェックを設けて、数値や単位に間違いがないか慎重に確認します。
否定語(not, withoutなど)の有無が正しく反映されているか?
これを間違えると、意図したことと逆の意味を伝えてしまうことになり、重大な誤訳となります。ネイティブチェックで完璧に押さえられるとよいのですが、たとえばnotがあってもなくても自然な文として成り立つ場合など、原文と違っていても違和感なく読まれてしまうかもしれません。翻訳者やネイティブチェッカーへの注意喚起はもちろん、機械的なチェックも取り入れつつ、しっかり確認します。
指定の訳語・訳文にするべきところが自由に翻訳されていないか?
たとえば製品の取扱説明書に次のような文があるとします。
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「読み込みエラー」と表示されたらメモリーカードを抜いて、
もう一度差し込んでください。
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この時、「読み込みエラー」は製品上で表示されるメッセージであり、製品の販売国によってその訳語も決まっているはずなので、翻訳者が自由に翻訳してはいけない部分です。メッセージ表示はどの販売国でも英語のまま、というケースもあるかもしれません。
このあたりはネイティブチェックではなく、製品仕様を理解したうえでのチェックが必要になります。
多数の言語を取り扱うイデア・インスティテュートでは、どの言語についてもこうした複数のチェック工程を設けて、翻訳の品質を確保しています。
ちなみにイデアではネイティブチェックばかりでなく、多言語展開スタッフによる校正作業も翻訳の品質アップに一翼を担っています。たとえその言語に通じていなくても、文の長さやキーワードを手掛かりに原文に対応した翻訳になっているか判断したり、前後の類似した文と比較することで、翻訳の過不足や不一致を発見できたりします。また、スペイン語とポルトガル語のように似た言語同士で見比べて、訳語が妥当か判断することもあります。言語そのものへの関心が強いスタッフが多いことのあらわれかもしれませんね。
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