クラフトビールの楽しみ

イデアビルのある恵比寿はビールの街としても有名です。ビール好きの私ですが、コロナ禍でリモートワークが定着したこともあり、恵比寿に足を運ぶこともめっきり少なくなってしまいました。
恵比寿に限らずそもそも外食・飲み会に出かける機会が減ったのは寂しい気もします。でもその一方で家飲み用のお酒選びを楽しむようになりました。

やはりビールを選ぶことが多いのですが、特に最近はクラフトビールに惹かれています。大手ビールメーカーのビールに対して、小規模な醸造所で造られる個性豊かなビールで、ここのところ雑誌で特集されたりSNSでもさまざまな情報が発信されたりと、クラフトビール人気が高まっているようです。土地の名産品を原材料に含めるなど地域色を打ち出したものも多く、「地ビール」という呼び方もお馴染みですね。
私がときどき訪れるクラフトビール専門店はボトルショップでもあり、購入して家で楽しむこともできます。昨今のクラフトビールブームはアメリカが発端と言われていますが、このお店にはイギリスや北欧などヨーロッパ発のパッケージデザインがおしゃれなビールがたくさんあり、見ているだけでも気分が上がります。(ついジャケ買いして、値段にビックリしたこともありますが…)

クラフトビールは製造方法や原材料の組み合わせなどにより、様々な種類(ビアスタイル)に分類されます。初心者の私はパッケージで選ぶことも多いですが、好みの味だったら次回選ぶときのためにスタイルもチェック。その名前の由来を調べるのも面白いです。

人気のスタイルのひとつIPA(India Pale Ale)は、大航海時代にイギリスから当時植民地であったインドへとビールを輸送するにあたって、ビールが腐敗しないよう殺菌効果のあるホップを大量に加えて造ったのが始まりだそうです。ホップによる苦みが強く、またアルコール度数も高めのビールですが、そのIPAの派生スタイルに「セッションIPA」というものがあります。
セッションビールとは、ベースとなるビアスタイル(IPAなりラガーなり)の特徴をキープしつつ、アルコール度数を5.0%未満と低めに抑えたもの。飲み会などビールの時間(drinking session)を通じて、飲み疲れることなく楽しめるライトなビールという意図があるようです。
なので「セッションIPA」の場合は、IPAらしくホップの香りを十分に感じさせつつ、苦みやアルコール度数は抑えられた、軽めで飲みやすいスタイルということになります。

ほかに、ベルギー発祥のセゾン(Saison)というスタイルがありますが、これはもともと夏の農作業の合間に飲むためのビールを、農業の閑散期である冬から春にかけて仕込んでいたのが始まりと言われています。Saisonはフランス語で「季節」を表しますが、その名のとおり季節に根ざしたビールだったのですね。今はどの季節でも販売されますが、爽やかな香りと軽い飲み口で、夏の喉を潤すのにぴったりのスタイルです。
クラフトビールは大手メーカーのビールに比べると市場規模が小さく価格も高めで、やや手に取りづらい印象もありますが、それぞれのビールにまつわるストーリーを知れば、元は人々の暮らしの中で必然的に生まれ、土地に寄り添うかたちで造られてきたものだということが分かり、親しみがわいてくる気がします。
同じビアスタイルをうたっていても醸造所によって味や香りに特徴があったり、派生スタイルがあったりと、知れば知るほど奥が深いクラフトビール。種類も多く選ぶのも容易ではありませんが、迷うのもまた楽しみのひとつではないでしょうか。
専門店でお店の人と会話して選ぶのはもちろん、自分に縁のある国や地域のものを選んでも、または単にネーミングが気になる1本を選んでみても、面白い発見があるかもしれませんね。

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