紙の辞書の活用法

この春、長男が高校に進学しました。たくさんの参考書とともに、辞書購入の案内が届きました。
辞書案内のトップページは電子辞書でした。いまどきの高校生はやはり電子辞書なのか…と思いきや、電子辞書だけでなく紙の辞書の販売も充実しており、聞いてみれば実際学校では紙の辞書もなかなか人気とのこと。それぞれのメリットがあるからこそ、自分の学習スタイルに合わせて辞書を購入しているようです。
学生だけではなく社会人も、例えば英語ならTOEICやTOEFLのテストに挑戦するため辞書を手放せない方もいらっしゃることでしょう。コロナウィルス感染症由来の規制が緩くなり、日本を訪れる機会が増えた海外の皆さんとのコミュニケーションの一環で、辞書を手にする方も増えているかもしれません。そこで今、敢えて紙辞書の活用法をご紹介します。

「ふかふかにする」

知りたい単語・用例を効率よく調べることができ、膨大な情報がコンパクトなサイズに収まる電子辞書はとても便利です。
一方で紙の辞書は、調べた用語・用例のページ全体が自然に目に入るため、周辺の情報も得られる「読み物」としての役割が大きいようです。そして人は、手塩にかけたものに愛着を持つという傾向があるようです。
そう、ここでは読み物として愛着が沸くように、辞書を手塩にかけて「ふかふかに」していきましょう。
ふかふかにする…?どういうことでしょう。それは日々の学習の中で、以下2点を繰り返していくだけで実現します。

  1. 調べたところにマーカーを引く
  2. マーカーを引いたページをくしゃくしゃにして、引き延ばし元に戻す

まず、調べて分からなかった単語にマーカーを引きます。
マーカーを引いたら、その単語の項目はひと通り読んでみましょう。色んな発見があるはずです。

(こちらはフランス語の辞書です。おや、ピサンリのサラダの用例が出ていますね…)

次に、調べたページを以下のようにくしゃくしゃにします。

(なんてこと!ページは破けないの?)

ここで驚きの事実なのですが、辞書に使われている紙は薄くてかつ、とても強靭なのです。こんなにくしゃくしゃにしても、まずほとんど破けません。
しかしながら大事な辞書、万が一破いてしまってはがっかりします。敬意を持ってページは縦方向、辞書が綴じられている側(印刷用語ではノドと言います)へ向かうように意識して、くしゃくしゃにしましょう。
その後、元に戻るようにやさしく平らにならしましょう。

これを繰り返すと、以下のような違いが出てまいります。
左:くしゃくしゃにするのを繰り返した某辞書第2版
右:このたび長男が購入した某辞書第6版

ごらんください、左はふっかふかです!

ふかふかにすることに何の意味があるのか?とお思いかもしれません。しかしここには、

  • 空気が入ることでページがめくりやすくなり、辞書が引きやすい
  • ふかふかの手触りがクセになる
  • よりふかふかにしたくなって、辞書に手を伸ばしたくなる

という魅力が潜んでいます。

 

1回目に引いたことを忘れてもう一度辞書を引いてしまった場合は「次こそマーカーを引かないぞ」という気持ちで熟読し、1回目とは違うマーカーで該当の単語、または用例を塗りつぶします。そこで再度くしゃくしゃにしましょう。

くしゃくしゃ上級者にさらにお勧めなのは…
この部分の活用です。

↓↓↓

辞書がふかふかになっていく一方で、このようなまだシワのない、まとまったページの束が目立ってきます。
ここには、普段辞書を引くことのない汎用語(英語ならdo, set, play, when , where…など)が挟まっていることが多いです。

そこで気が向いた時に、これらの「普段辞書を引くことのない」単語を敢えて引いてみましょう。
意外と、知らない用例がたくさん出ていることと思います。ちなみに私の英和辞書で動詞のdoを調べたところ、意味の解説と用例だけで4ページ近くあり、非常に読み応えがありました。
もちろん、ここもマーカーを引いてくしゃくしゃにします。

 

いかがでしょうか?ご自宅に眠っている辞書があったら是非お試しください。なお、言葉は生きているものなので、時代の移り変わりに沿って用例や用語は少しずつ変わっていきます。最新の用語を知るためにも定期的に新しい辞書を手にして、次々くしゃくしゃにしていくのもいいかもしれませんね。

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