イデア・インスティテュート日本文化紹介多言語絵本のご紹介

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

今年は辰年。そして4年に一度のうるう年で、さらにオリンピック・イヤーです!
こう書くと、何となく気持ちが華やかに、おめでたい気分になりませんか?
龍の背中に乗って、いつもより1日長い1年をお祭りさわぎしながらみんなで一緒に上昇する。そんな素晴らしい一年にしたいところです。

さて、2024年1月、今年もイデア・インスティテュートの日本文化を紹介する絵本の28冊目を発行しました。「日本文化の風景」シリーズ第3弾『近世の彩り』です。戦国時代から江戸時代までの文化の歴史や現在とのかかわりなどを取り上げました。日本語、英語、フランス語、スペイン語の4言語で紹介しています。

今年の絵本『日本文化の風景III-近世の彩り』を制作した絵本委員の恒例の編集後記をお届けします。実際の絵本と合わせてお読みいただけたら嬉しい限りです。

 

『日本文化の風景III-近世の彩り』編集後記

絵本の制作に携わるなかで最も苦労したのは日本語原稿の執筆でした。現代に受け継がれ、海外に認知されている近代の文化について、だれにでもわかりやすく限られた文字数にまとめ、また翻訳しやすい文章を作るのが難しく、何度も書き直してはご指導いただきました。
日本語が多言語に翻訳されて、鮮やかな絵と共にレイアウトされた完成間近な原稿を見て、改めて絵本の制作が様々な人の関わりがあって完成することも学びました。
現代の生活にも彩りを与える豊かな日本の文化について、みなさまにも楽しんで読んでいただけたら幸いです。

(原稿・編集担当 近藤)

 

昨年に引き続き、絵本制作に参加しました。今回も、今につながる様々な文化を知ることができました。例えばお城には、建築当初から現存する国宝もあれば、一から復元した城、災害から復興したものもあります。お城は今でも町のシンボルで、地域住民など多くの方に親しまれているからこそ、手間をかけて修復や復元をし、守り伝えられてきたのだろうなと感じました。子供のころは立派な外観や天守からの眺めが好きで、何か所か訪れた記憶があるのですが、今後は建築技術やそれぞれの歴史などにも注目して、巡ってみたくなりました。何か一つでも皆様の心に残る絵本になっていれば嬉しいです。

(原稿・編集担当 後藤)

 

自分が執筆した文章が別の言語で、そして絵によって表現されるという、この絵本制作の醍醐味を味わえたことを嬉しく思います。戦国時代や江戸時代と現代とでは時代背景も社会情勢も大きく異なりますが、自然や美しいものを愛で、大切にする人々の心はずっと変わっていないのだと考えると不思議な気持ちになりました。歴史を過去の出来事としてではなく過去から現代への変遷としてとらえることで、新たな視点で見つめ直すことができるのだと実感しました。

(原稿・編集担当 稲葉)

 

今年の絵本は、日本の歴史の中で「戦国時代」と「江戸時代」という時代に光を当てます。特に江戸時代は、平和が長く続き、人々の暮らしが豊かになったと同時に、文化が大衆化して階級の枠を超えるようになった時代です。また、「わびさび」に代表されるように、現代の日本でも受け継がれている美意識や精神性が発展した時代でもあります。この絵本の文章や色鮮やかなイラストを通じて、「近世の彩り」を少しでも感じていただければと思います。

(英訳担当 L. Androphy)

 

日本文化の風景シリーズは今回のIIIでひとまず終了です。
Ⅰは縄文時代あたりから奈良時代ぐらいを。Ⅱでは平安時代から室町あたりまで。そしてIIIでは安土桃山時代から江戸時代まで。
時代が進んでいくにつれ資料などが多くなり、ⅠよりⅡ、そしてIIIと文章を書いてくれた人は苦労したようです。もちろんイラストも。皆様ほんとうにお疲れ様でした。
そして私事で恐縮ですが、絵本制作に携わり今年で20冊目になりました。イデアで作ってきた絵本は全部で28冊。「どんぐりと山猫」から毎年いろいろありました。もうそろそろ後進に譲って引退かな(笑)。

(原稿・デザインレイアウト担当 前田)

 

絵の中にどうやって時間を閉じ込めることができるのかと考えてきました。
今年の絵本、俳句の題材で思ったのが世界一短い詩といわれている俳句でも、17文字分の時間を有している、でももっとよく考えると例えば書き文字の「一」の一字でも書き始めから止めまで、ある時間が存在します。
一の字を見ることと、絵を見ることは「見る」という事では同じです。絵では一瞬で終わるかもしれない見る行為に、言葉は時間を内包して存在している。絵を描く大切な考えになりました。

(原稿・イラスト担当 谷)

 

今回取り上げた中では大名行列について私には新しい発見がありました。本書では書かなかったのですが、『武鑑』という大名や幕府の役人の名前、石高、俸給、家紋、槍印などがわかる本が毎年発行されて、どこの家の行列なのか、どの藩と取引したらいいのかなど商人は見定めていたそうです。また時代劇で見るような土下座をして行列を迎えるのは徳川御三家の場合のみで、普通はお辞儀する程度、しかも本陣が通るときだけだったり、通りに出ていなければお店などの窓から見物したりできたようです。行列が派手になっていったのは大名側が見物されることを意識した自発的なもので、幕府が大名に散財させて力を弱めたかったという説も違うのだとか。私のイメージと全然違っていたので印象に残りました。

(発行人 福澤)

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