韓国ミュージカルを観に行こう!

ここ数年、観劇にハマっています。特に昨年2025年はひたすらミュージカルを観ていた1年でした。ファンが多い有名作品の待望の再演から、今勢いがある脚本・演出家の期待の新作まで、どれも違った良さがあり、改めてミュージカルの魅力を再認識しました。

その中で、最も心に残った作品が「キンキーブーツ」です。5月に初めて東京で観劇し衝撃を受け、1回では到底我慢できず、6月に急遽有給休暇をいただき大阪でもう1度観劇しました。これほどまでに自分に刺さる作品だとわかっていれば、もっとチケットを取っていたのに…しかし、実際に観てみないとわからないのがミュージカル。また次回の再演に備えて貯金でもして待っていよう…と思いながらSNSを見ていたところ、年末から韓国でも上演されるというではありませんか!これは行くしかない!こうして私のソウルへの観劇旅行が決まりました。

元々韓国は好きな国で、学生の頃は年に何度か渡韓していたため、旅行自体は慣れていたのですが、ミュージカルのチケットの取り方は未知の領域でした。そんなときに、弊社のブログでちょうど良い記事を見つけたので、下記も参考にしながらチケッティングをしました。

韓国コンサートのチケッティング体験記

ミュージカルのチケッティングもコンサートのそれと基本は同じです。日本のいわゆるグランドミュージカルは半年ほど前から長々と先行抽選販売を行いますが、韓国では数回に分け、1~1.5か月前頃に主要キャストの組み合わせが発表されたあと、すぐに一般先着販売があります。人気のあるキャストの回はかなり厳しい戦いになりますが、公演の数日前までは簡単にチケットの払い戻しができるため、他の人がキャンセルする分を狙ってサイトをこまめにチェックしていると、なんやかんやで席を確保できることが多いです。また、チケット代も舞台からの距離や見え方によって細かく区分されたうえで、座席番号を指定して購入できるので、高くても良いから見やすい席で観たい、舞台から遠い席でも良いから気軽に観たい等、各々のニーズに合わせて選べるのは観客にとって嬉しいシステムです。

このように劇場に足を運びやすい環境がきちんと整っているからか、驚いたのはその客層の幅広さでした。今回キンキーブーツを含め、2作品を2回ずつ鑑賞したのですが、どの回も男女比は体感1:1と日本の劇場ではなかなか見ることができない光景で、個人的には映画館のようだと感じました。ソウルだけでも4か月ほど公演を行うので、各劇場の装飾も力が入っており、キャストのビジュアルを使用した壁面や舞台セットを模した撮影スポット、作品モチーフのプリントシール機等、開演前や休憩時間の暇つぶしには困りません。日本人は、自分は写真に写らず、ポスターや看板を背景にチケットやアクリルスタンドを持って手元の記念撮影をする方が多いですが、韓国では老若男女問わず多くの方が撮影スポットに行列を作り、自撮りや他撮りで自身の姿を写真に残していたのがかわいらしく、印象的でした。

私が一番感心したのは、やはりミュージカル自体のクオリティの高さでした。韓国のミュージカル俳優については詳しくないので、特にキャストは気にせずチケットを取ったのですが、主演俳優の歌声はスコーンと3階席まで届き、その貫禄はまるで伝統芸能を観ているかのよう。とてもめでたい気持ちになります。ブロードウェイやウェストエンドとまではいかないまでも、ソウルでは複数のミュージカルや演劇が並行して上演されていますが、目と耳の肥えた韓国の観客たちのために、きっとどの作品も高いレベルの歌唱力と演技力が保証されているのだろうなと考えると、それだけミュージカルにさけるキャパシティ(資金、人員、劇場等)があることに驚きました。

観客側も観劇慣れしている方が多い印象で、盛り上がるところはしっかり拍手と歓声で盛り上げ、それ以外の場面では余計な手拍子や身動きはせず静かに鑑賞されていて、ストレスなく観劇できました。今回、演出は日本とほぼ変わらなかったのですが、同じ場面でも日本と韓国では観客の反応が違う箇所があったりと、興味深い発見も多々ありました。

もちろん韓国人キャストによる韓国語での上演なので、舞台の左右に表示される等、観客全員が見える形での字幕はつかないのですが、なんと今回のキンキーブーツでは劇場で字幕付きメガネの貸し出しがあり、韓国語が全く分からない方や聴覚に障害がある方でもミュージカルを楽しむことができます。AIで台詞を認識し、韓国語に文字起こししたり、多言語に翻訳した字幕が視界の下部に表示される仕組みのようで、翻訳会社に勤める身としては危機感を覚えなくもないのですが…とにかく便利な時代になったものだと驚きました。今までも字幕を表示できるタブレットの貸し出しは聞いたことがありましたが、メガネで字幕が見られるのであれば、視線の移動も少なくて済みますし、周囲の観客の集中を妨げることもありません。数に限りはあるようなのですが、このような製品を利用してみるのも良いかもしれません。

内容についても少し触れておくと、キンキーブーツの主題は、なりたい自分になること、そして、ありのままの他者を受け入れることです。日本で初めて鑑賞した際は、なんと優しい物語なのかと終わってからもずっと心がぽかぽかと温かく、この作品を世界中の人々が観ればどんなに良い世界になるだろうかと思いました。大人たちはきっと誰しもどこか共感できる内容だと思いますし、明日から少しだけ意識を変えて頑張ってみようかな、とパワーをもらえる作品です。日本でも数年後には再演があるとは思いますが、韓国での公演はソウルにて2026年3月29日まで開催されていますので、近々韓国旅行へ行かれるという方は滞在中の楽しみの選択肢に入れてみるのはいかがでしょうか。

ちなみに、日本では昨年から今年にかけて、韓国のミュージカルを映画館で上映する「韓国ミュージカル on Screen」という企画が行われており、2026年2月下旬現在、4作品の上映が終了してしまったのですが、3月に最後の1作品、「モーツァルト!」の上映が残っています。日本語字幕がついていますし、お手頃な値段で有名作品を鑑賞できるのでミュージカル初心者の方にもおすすめです。劇場での生の演劇体験には敵いませんが、映像越しでも韓国ミュージカルのレベルの高さがお分かりいただけると思います。いきなり韓国へ行くのはちょっと…という方はぜひ映画館で韓国のミュージカルを体感してみてください。

韓国ミュージカル on Screen

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