
息子の成長に伴い、先日めでたく(?)一人部屋を召し上げられ、エアコンの無い部屋への国替えを命じられる運びとなったのですが、暑さでフーフー言いながら荷物の整理をしていたところ、30年くらい前に買った懐かしいアルバムが出てきました。
皆さんは「アシェ」(ポルトガル語:Axé)という言葉を聞いたことはありますか?
「アシェ」とは、ブラジルのバイーア州で1980年代に生まれた音楽ジャンルのひとつで、サンバ、レゲエ、ポップ、ロックといった様々な音楽が混じりあって出来たものと言われ、軽快なダンスとともに、とにかく底抜けに陽気で明るく、前向きなパワーを感じることが出来る音楽です。
ちなみに「アシェ」の語源は、ブラジルに数多く存在する土着の宗教のひとつであるカンドンブレの宗教儀礼にあり、「活力、調和、感謝」といった様々な意味を持ち、風習を同じくする人たちの間では友人に対する挨拶などに使われたりもするようです。
90年代~2000年代を席巻した「アシェ」は、寂しいことに現在ではかつてのような勢いはないようですが、暑い時にこそなぜか聴きたくなる絶妙な「軽さ」がおすすめです。今回見つけたアルバムは、いずれも当時大流行りした曲を多数収録しているのですが、その中のいくつかをご紹介したいと思います。雰囲気の良いスローテンポな曲ももちろんあるのですが、暑さに対抗するため、あえてサンバ寄りの打楽器多めの選曲です。
1. Feijão de corda / Daniela Mercury / Feijão Com Arroz
曲:フェイジャン・ジ・コルダ/歌:ダニエラ・メルクリ/アルバム:フェイジャン・コン・アホース
曲名の意味は、「ささげ」という小豆のような赤い豆です。曲調とは裏腹に、恋する人に抱く一途な想いを歌っています。題名の豆は現地では代表的なもので、そこから、普段からあるもの=強い結びつき、変わらないものの象徴として使われているようです。とにかく力強い音楽と歌声に最初から最後まで圧倒されます。
2. Rapunzel / Daniela Mercury / Feijão Com Arroz
曲:ハプンゼウ/歌:ダニエラ・メルクリ/アルバム:フェイジャン・コン・アホース
綴りから分かるように、ディズニーでもおなじみ、長い髪のラプンツェルのことです。ブラジルでは「ハプンゼウ」という発音になります。舞台をブラジルのとある町に移し、私たちの愛はロミオとジュリエットのようだねと歌う、こちらもラブソングです。トムとジェリーにも出てきそうなおどけた効果音も楽しく、特に後半の早口の盛り上がりがクセになります。
3. Arerê / Ivete Sangalo / Banda Eva Ao Vivo
曲:アレレ/歌:イヴェッチ・サンガーロ/アルバム:バンダ・エヴァ・アオ・ヴィーヴォ
曲名の「アレレ」には特別な意味はなく、とにかくずっと軽快なリズムが楽しい、二度あることは三度ある、そう、内容はコテコテかつ、どストレートなラブソングです。「アレレ」を含むサビの部分に出てくる英語とポルトガル語のちょっとした言葉遊びも面白いです。
4. Levada louca / Ivete Sangalo / Banda Eva Ao Vivo
曲:レヴァダ・ローカ/歌:イヴェッチ・サンガーロ/アルバム:バンダ・エヴァ・アオ・ヴィーヴォ
曲名の「レヴァダ・ローカ」は一言では言い表しにくいですが、「ローカ」は直訳すると「狂った」、「レヴァダ」はここでは特に打楽器の演奏が生み出すグルーブ感を指すと思われるため、踊る衝動を抑えきれないくらい素晴らしい演奏といった意味になるでしょうか。この曲は「アシェ」が生まれたバイーア州のとあるお祭りを題材としていて、様々な打楽器の名前が登場し、叩け、歌えと盛り上がり、結果朝を迎えてしまう、とにかくお祭りでの演奏の素晴らしさを讃えるような内容となっています。なんと最後はラブソングではありませんでしたね(笑)。
暑い中、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。頑張ってノリノリで暑さを乗り切りましょう。
それでは皆さんにたくさんのアシェを!
最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。
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