グローバルからローカルへ

イデアの翻訳はこんなところで役に立っています

海外向けの案件が多々ある翻訳会社の翻訳って実際にどの様な場面で使われているか、翻訳の多くは海外で使用されるのが前提の為、なかなか日本では見え辛い部分もあります。

今日はそんな私たちの翻訳がどの様な場面で役に立っているか、簡単ですがご紹介させて頂きます。

「グローバル」と言う言葉がイコール今の市場のあり方その物を指す様に使われておりますが、そこでのコミュニケーションの媒体となるのはやはり「言語」です。「ヒト」や「モノ」が異なる国(厳密に言えばその言語を話す文化圏になりますが)を移動する時、言語そのものはそれを理解しない人たちには大きな障壁となりうる場合があります。

例えばアップルのスマートフォンやマイクロソフトのパソコンを当たり前の様に使用できるのは、ひとえに言語的な障壁を取り除いているからに過ぎません。ボタンを押して立ち上げた画面が全て英語のままだったらどうでしょうか?「英語ならわかるから問題は無い」と言う方もおられるかと思いますが、まだまだ大半の人は専門用語がずらりと並ぶセットアップ画面を、辞書を片手に進めていくのはどうにも気が滅入る作業になるのでは無いでしょうか。さらに、英語を理解していたとしても、特定の分野の専門用語となるとこれが大きな障壁になります。一般的に使われている単語が、ひとたび特定の分野で使われると全く別の意味になる場合も少なくありません。そんな時は、例えば日本語を主言語とする文化圏で育った人であれば、「パソコン」の画面はやはり日本語表示されるのが一番分かり易く、何よりパソコンの能力を最大限に利用出来ると思います。

さて、「翻訳の仕事」と言うと、一般には映画や本などの翻訳が身近な例として挙げられるかも知れませんが、実は、日常的に何気なく使用している道具が、「翻訳」と言う仕事を介している事で私たちが当たり前の様に使えていると言う事は多々あります(先ほど挙げたパソコンの画面もそうです)。つまり、モノに付随する言語的なコミュニケーションを円滑にし、人々の生活を豊かにするのも「翻訳」の仕事の意義なのです。その意味では翻訳はとても身近な存在ですが、とても重要なツールでもあります。

これはひとつの例なのですが、以前、日本の大手メーカーさんから海外に輸出される製品の翻訳を依頼されました。それはエンドユーザ向けの工業製品なのですが、その製品で画面に表示される文言(「ユーザーインターフェース」)の翻訳でした。(そうですね、例えばPCの画面に表示されるタブやダイアログボックスの文言翻訳だと思っていただければ。)その製品はメーカーさんの主力の製品の一つなのですが、なにせ言語数が多いのです。全部で20言語、同時並行で翻訳作業をします。画面の翻訳ですから、専門用語や新たに設定される製品の新機能等、難解な用語が盛りだくさんです。それらをひとつひとつ調べ、ユーザーの方にどの様な利点をもたらす機能なのかをイメージし、不明な点があればメーカーさんの担当の方に確認し、それぞれの言語の担当の翻訳者に周知し、出来上がった翻訳を校正して…と。地味で煩雑な作業をひたすら繰り返すのですが結果的にその製品が各地域へ届けられ、現地のユーザーが製品の利点をストレス無く最大限活用してくれる事を考えると、そしてそれがひいてはメーカーさんのグローバルビジネスでの発展一端を担い、それが日本経済の利益につながり…(ここまで来ると少し大げさかも知れませんが)、色んな地域の言語の仕事をして、自分も少しばかり貢献が世の中に出来たのかなと思う事もあります。

「グローバル」に対して「ローカル」と言う言葉がありますが、言語や市場は「グローバル」であっても人は「ローカル」な存在です。グローバル市場のマップをミクロの視点で見れば、それぞれの地域の人が暮らす社会(local)の集合体である事が分かります。実際に、先ほどお話した製品画面の翻訳業務は「ローカリゼーション」(情報の現地化、地域化)と呼ばれたりもします。ある場所からまた別の場所へ、ある人からまた別の人へ、そのコミュニケーションに携わる自分の仕事を通じて各地域(local)の人達の生活の向上に私の仕事が微力ながら役に立っているとすればそれはとても素晴らしい事だと思います。

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