楽しい時間を共有しよう ~ボードゲームのすすめ~

週末の夜、落ち着いた照明の部屋でゆったりと、しかし真剣な面持ちで盤を囲む大人たちの姿。20年近く前に放送されていたボードゲームを紹介する番組で、世の中には実に様々なボードゲームがあることを知り、駆け引きを楽しむ大人の娯楽に魅力を感じました。

それをきっかけに我が家にもボードゲームが少しずつ増えてきました。ただ子どもたちが幼い頃は一緒に遊ぶには難しかったり、成長するとそれぞれ忙しくて時間が合わなかったりと、思うようには遊べないのが現実です。でもいざ始めると皆が真剣に勝ちを取りに行くのでとても盛り上がり、気が付けば数時間経過していて、いつも名残惜しさをもって「またやろうね」と言いながら終わります。年に数回ですが、貴重な家族時間です。

ここで、我が家でお気に入りのゲームを2つご紹介します。

交渉が楽しい開拓ゲーム『カタン』

おそらく家族でのプレイ回数が最も多いボードゲームで、ドイツの人気ゲームクリエイターによる作品です。このゲームの面白さは、サイコロの運だけに頼らず、他のプレイヤーとの交渉などチャンスを利用しながら勝ち筋を探るところにあります。

プレイヤーはまず「カタン島」で最初の開拓地を置く場所を選び、その土地で得られる資源を集めて活用しながら開拓を進めます。そして開拓地や都市の建設などにより得られる開拓ポイントが10ポイントに達したプレイヤーが勝者となります。最初の土地選びが資源収集に大きく影響するため、開始前に戦略を練った上で挑みたいゲームです。とはいえ勝ち方はひとつではなく、思うように資源が取れないときなど状況に応じてうまく戦略を切り替えられるかどうかもカギとなります。

逃亡と追跡の緊張感『スコットランドヤード』

姿の見えない怪盗を、限られた手がかりで追い詰めていく緊張感が魅力のボードゲームです。ロンドンを舞台にしていますが『カタン』と同じくドイツ生まれの作品です。

プレイヤーのひとりが「怪盗X」に、それ以外は全員がスコットランドヤードことロンドン警視庁の刑事になります。この1対多人数という対決構造も面白いポイントです。ロンドン市内の交通網を模した盤上のどこかに怪盗が身を潜めたところからゲーム開始。各自がタクシー・バス・地下鉄のチケットを駆使して移動し、24ターン以内に捕まらなければ怪盗の勝ちです。怪盗には特殊な移動手段もありますが、徐々に追跡範囲が絞り込まれる仕組みになっています。

じわじわと迫ってくる刑事たちから逃げ切るのは容易ではなく、我が家ではまだ逃亡成功者はいません。以前、怪盗役になった私は開始早々に逃げ道を読み違え、ありえない早さで捕まってしまったことがありました。以来、家族でプレイするたびに笑い話となっている思い出です。

ちなみに『カタン』と『スコットランドヤード』はいずれもドイツ生まれで、ボードゲームの最高峰の賞とも言われるドイツ年間ゲーム大賞にも選ばれました。他にも多くのドイツの作品がこの賞を受賞しており、さすがボードゲーム大国と呼ばれるだけのことはあります。

ネットやデジタルゲームが身近な今でも、ドイツのボードゲーム文化は健在なのでしょうか。ドイツ在住の友人に尋ねてみると「家にも学童にもたくさんボードゲームあるよ」とのこと。小学生の息子さんと夕飯までのちょっとした空き時間に遊んだり、お友達の誕生日会では招待された皆で新しいゲームをプレゼントしたり、子どもの頃からボードゲームが日常に溶け込んでいる様子を教えてくれました。

勝った、負けたと熱くなっても、後に残るのは結果そのものより、ひとつの盤を囲んで交わした会話と笑顔、そしてその場の空気を共有できたという満足感かもしれません。家族と過ごす夜に、友人と集まる週末に、ボードゲームの時間を作ってみませんか。

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