政治を「自分ごと」にするために

2月8日、「政権選択」が問われる真冬の短期決戦、衆議院議員総選挙が行われました。選挙のたびに話題になるのが、日本の投票率の低さです。実際、国政選挙の投票率は長い間50%前後で推移しています。前回の選挙はかなり注目されていたこともあり投票率は56%だったそうですが、「政治は難しい」「自分の一票で何かが変わるとは思えない」という声が今も変わらずあるように感じます。

一方で、私が以前アメリカに住んでいた頃に体験した選挙の空気は、日本とはかなり異なるものでした。ちょうど民主党のバラク・オバマ氏と共和党のジョー・マケイン氏による大統領選挙が迫っていた時期で、「初の黒人大統領が誕生するかもしれない」という期待感に、国全体が熱気に包まれていました。テレビや新聞だけでなく、学校や家庭、友人同士の会話の中でも自然と政治の話題が出てきて、選挙が「一大イベント」であると同時に「生活の一部」として存在していたのです。

特に印象に残っているのが、小学校での選挙体験です。実際に使われる投票用の機械が学校に運ばれてきて、全校生徒で模擬選挙を行いました。証明写真撮影用のブースのようなもので、カーテンをくぐると候補者の名前が書かれたボタンが2つあるだけの簡素な造りでした。とてもわくわくすると同時に、自分の選択によって国の行く末が決まってしまうかもしれないという責任の重さを今でも覚えています。たかが一票、されど一票。候補者の背景や経歴に自ら興味を持って調べ、熟考を重ねて票を投じる。子どもの頃からこうした体験をすることで、投票は義務というよりも「参加する権利」であり、自分の意思を表明する大切な行為だと自然に受け止められるようになるのだと思います。アメリカでは、政治的な価値観が個人のライフスタイルや消費行動に影響を及ぼすことが多々あります。また、対立が激化して暴動や大規模なデモに発展する様子がたびたび日本でも報道されることがありますが、それだけ政治への関心が高いといえましょう。幼い頃からそういう空気に触れている点は、日本との大きな違いではないでしょうか。

政治的関心の低さが課題とされている日本でも、最近は学校で「主権者教育」を取り入れているようです。具体的な取り組みとしては、高校生主体で行う模擬議会や政策提言、学生が地域企業と連携して社会参画意識を育む地域課題解決型学習等が挙げられます。これらの体験学習を通して、民主主義や地方自治の重要性を学ぶとともに、未来の地方自治や議会への関心を高める狙いがあります。主権者教育を地道に進めていくことで、政治が「難しいもの」「遠い世界の話」ではなく「すべてくらしに直結する」ことを実感できるようになれば、政治に対する意識も少しずつ変わっていくと思います。

一票の重みを実感できる経験を、次の世代にどう手渡していくか。先の選挙をきっかけに、改めて考えてみたいテーマです。

最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。

株式会社イデア・インスティテュートでは、世界各国語(80カ国語以上)の翻訳、編集を中心に
企画・デザイン、通訳等の業務を行っています。

翻訳のご依頼、お問わせはフォームよりお願いいたします。
お急ぎの場合は03-3446-8660までご連絡ください。