2022年10月下旬、我が家に長男(T君)が誕生した。私事で恐縮だが、今回は子育ての毎日を、発話の成長過程を中心にお見せしたい。T君は10か月くらいにはつかまり立ちをして、1歳では5歩くらいは歩けるようになった。
一方で、1歳になっても日本語らしい言葉を発することはなく、発話の習得は標準より遅くて心配している。以下で、発話が少しずつ見え始めた1歳3か月になる2024年1月から、2歳になる10月までの日々を振り返ってみようと思う。
<1~3月>(1歳3~5か月)
2024年1月、お正月は北陸の実家に帰省。T君より4か月早く生まれた妹の次女Mちゃん(T君の従姉妹、この時1歳7か月)と初対面。5歳のお姉ちゃんがいて、保育園に通っているせいか言葉の上達が早い。「ママ」「おいしい」「よっしゃ」の3語を話す、と妹が教えてくれた。この頃の赤ちゃんは同学年でも数か月違うだけで、その差は大きい。
それでも、3月中旬頃には、ものを渡すときに「ハイッ」というようになった。
<4月>(1歳半)
1日、保育園の入園式だ。慣らし保育の1週目は園に到着しただけで泣いていたが、2週目以降は徐々に慣れてきて、発話のパターンも少し増えた気がする。
下旬の某平日、1歳半検診の日。午前中有休をもらって、かかりつけの小児科へ。ワクチンを打ってもらった後に問診があった。「言葉はどのくらい話す?」と聞かれたので、「ものを渡すときのハイッ以外はほとんどないです」と答えた。お医者さんは渋い顔で、「2歳まで発話がなかったら、もう1回来て」と言うので、ちょっと焦ってしまった…
<5月>(1歳7か月)
上旬、横浜で祖父母の法事だ。従姉妹のMちゃんと再会。正月に会った時以上によくしゃべっている。女の子は言葉の発達が早いのかも。Mちゃんが刺激になったのか、この法事の少し後から、バイバイを「ワイワイ」と言うようになった。
下旬の土曜日、子ども食堂(地域のボランティアの方々が小さい子がいる家庭向けに開いてくれる飲食店)に行く。お店の方に「美味しかった?」と聞かれたので「オイチカッタ」と返事!あまりの発音の良さに店員さんもびっくり!
また、月末、今度は歯科検診。区の保健センターで、歯の生え具合を歯医者さんに診てもらった後、保健師さんから簡単な問診あり。アンパンマンやトラック等が6つ描かれてた紙を見せられ、「アンパンマンどれ?」と聞かれ、T君は茫然として無反応…。そんな難しいテスト、他の子は答えられるのかなと思いつつ、保健師さんに「今日の目標は3語(例:ママ、パパ、ワンワンの3つ)でした」と言われ、また焦る…
<6月>(1歳8か月)
上旬、いつものようにT君を自転車に乗せて保育園に。同じクラスの女の子Kちゃんが他の子に遊びに仲間に入れてほしい時に「イレテ(入れて)」と言っているのを目撃。やはり女の子はおしゃべりが上手だ。
月末、自宅から徒歩10分の児童館へ行く。同じアパートに住む3歳になったS君がいた。お買い物ならぬ「おかいのも」、忘れ物ならぬ「わすれのも」と言っていた。最寄り駅の駅名もしっかり発音している。1年違うとこんなにも喋るのかと感心。
<7月>(1歳9か月)
お風呂上りにアンパンマンのおもちゃの車を指さして、「アパッ」と言った!さらに「アパパッ」とも。後から調べてみたところ、どうやら「アンパンマン」という単語は口を開けて閉じるだけなので赤ちゃんにとって発音しやすいらしく、「たちつてと」「さしすせそ」などは発音が難しいそうだ。
そしてなぜか、コップを掲げて、「アッパーイ」(乾杯)というようになった。私は家でお酒を飲まないので保育園で覚えてきたのかな?
<8月>(1歳10か月)
初旬、冷凍庫を指さして「アテテ」(開けて)をいった。時々「トッテ」(取って)もそれっぽくいう。この頃はアンパンマンも「アッパパッ」と言う。少しずつ「ア」とその他の音が区別できてきた気がする。
また、保育園に行ったある朝、Kちゃんのお母さんとお会いしたのでご挨拶すると、T君も手を挙げて「オアヨ!」。そういえば昨日もそんな発音していたけど「おはよう」だったのか。
また、この頃からイヤイヤ期が少しずつ始まった。危ないものを触ろうとするときに取り上げると床に寝そべって体をよじらせ大泣きする。最初は泣いているだけだったが、「イヤイヤイヤ」という発語も伴ってきた!
<9月>(1歳11か月)
上旬、犬を見て「アウア」(多分、ワンワン)というようになる。また、自動車をみて「ブブ」みたいにいうことも。鳩を見たときは「ポッポ」。ただ、せっかく覚えはじめた単語を言わなくなることも。「バイバイ」を言わずに「アバァ!」(あばよ?)といったり、車を見ると「ア、タイヤ!」(車のタイヤ?)といったり。
また、この頃から、一つの文章のように、ことばを長めに発声することが増えた(俗に宇宙語というらしい)。長い時は30秒くらい、一生懸命「アパパタイヤ△×〇%・・・」とか。意味はよく分からないけど、何かを必死に訴えている姿はけなげでかわいい。
23日、シルバーウイークに妻のご両親がT君の面倒を見てくれた。T君は時々、何かに納得したように「ナンダァ~」と言うようになる。脈絡もなく言うのが、とてもかわいい。また、ものを渡すときに「ドウゾォ」もいうようになった。
<10月>(2歳)
お気に入りの子ども用の図鑑に出てくる救急車を指さし「ピーポー」、バスを指さして「バブ」と言うようになった。外に出て実物を見つけると、「ア!バブ!」とか「ピーポーピーポー!」と言って興奮気味に教えてくれる。また、食事中に食べ物を床に落とすと、「オットッチャッタッ」(落としちゃった)、オムツの中にうんちが出た時は「デタ」と小声でつぶやくように言うようになった(笑)
下旬に、T君は2歳の誕生日を迎えた。これから、更なる語彙の増加と2語の発話(例:ブーブ走る)も見られるかなと楽しみにしている。
自己満足のような記事になってしまったけれど、保育園の連絡帳やスマホの動画等を見ながら、こうして発育過程を振り返ると、ゆっくりだが確実に成長しているわが子をみることができて嬉しい。
2歳の誕生日近くから2歳半までの子どもは1日に新しい言葉を10個くらい覚えるため「語彙爆発」と言われるそうだ。10月に入ってその兆候が少しずつ見えてきた気がする。発育が遅いかもと不安になることもあるが、T君が生まれたときに助産師さんから育児のコツとして「他人と比較しない」と言われたことを思い出した。これからも焦らずに楽しみながら育児に励みたいと思う。
参考文献:
『ことば、身体、学び「できるようになる」とはどういうことか』 (為末大, 今井むつみ共著、扶桑社新書、2023年)
『ことばの発達の謎を解く』 (今井むつみ著、ちくまプリマー新書、2013年)
最後まで記事をご覧いただき、ありがとうございます。
株式会社イデア・インスティテュートでは、世界各国語(80カ国語以上)の翻訳、編集を中心に
企画・デザイン、通訳等の業務を行っています。
翻訳のご依頼、お問わせはフォームよりお願いいたします。
お急ぎの場合は03-3446-8660までご連絡ください。