日本文化を紹介する多言語絵本の発行

皆様、明けまして、おめでとうございます。
令和になって8年目に入りました。
毎年1月に発行しているイデア・インスティテュートの日本文化を紹介する多言語絵本は今回で30冊目となります。

今年の絵本のタイトルは『翔び立つ言葉たち』です。このタイトルから皆さんが連想する日本文化はなんですか?
正解は「詩」です。今年は日本の明治から昭和に発表された、いわゆる「自由詩」や詩のような散文の中から、絵本委員それぞれが単純に「好きなもの」を選んで並べました。何か共通するテーマをこじつけてみようかと思ったのですが、自分たちが今気になる、新しい発見ができる、以外のテーマはいらないのではないか、という結論に至ったので日本語の絵本タイトルには副題もつけませんでした。
特に今年は、日本語を含めて8言語で制作しました。言語によって訳し方も違い、それが一同に並んだレイアウトは多言語絵本の醍醐味といえる力強さを感じます。
制作にかかわった絵本委員それぞれの編集後記を、ぜひ実際の絵本と合わせてお楽しみください。

 

『翔び立つ言葉たち』編集後記

今回の絵本制作では、詩について他の委員と解釈を話し合ったり、翻訳者に意図や背景を説明する中で、改めてその奥深さを感じることができました。詩を選ぶ過程でも、堅い詩、ユーモラスな詩、かわいらしい詩など、委員それぞれの趣味が表れていて、とても楽しい時間でした。
先日韓国を旅行した際、これまで何度も訪れたはずの本屋で、たくさんの詩集が平積みされていることに初めて気づきました。今まで全く目に入っていなかったことに驚きつつ、思わず一冊購入してみました。
この絵本が、みなさまにとっても日本や外国の詩に興味を持つきっかけになれば、嬉しく思います。

(編集担当 中里)

 

私自身、幼い頃から詩歌を作ってきたので、今回の絵本の制作に携わることができてとても嬉しく思います。原詩の独特なオノマトペがそれぞれの言語でどのように訳されるのか、とてもわくわくしました。翻訳者の方や他の絵本委員とのやり取りの過程で原詩を何度も読み返し、そのたびに新しい発見がありました。多言語への翻訳を経て、それぞれの詩が新たな魅力を見せてくれているのではないかと思います。声に出して読んでみたり、他の言語と見比べてみたり、イラストからイメージをふくらませてみたりしてお楽しみいただけますと幸いです。

(編集担当 芋高)

 

今年の絵本を翻訳する際にあらためて気付いたのは、英語における「擬音語」の乏しさです。日本語の擬音語はとても豊かで、さまざまな動作や状態を表現します。英語はその代わりに、微妙にニュアンスの異なる動詞がたくさんあります。しかし、日本語の擬音語の繰り返しから生まれる独特なリズム感は動詞だけで表すのが難しいです。「ざんござんご」「がちんがちん」をどう英訳するかいろいろ悩んだ末に、英語の擬音語を「造語」することにしました。全く定着していない新しい英語の擬音語ですが、原文の雰囲気やリズムが何となく伝われば良いと思います。

(英訳担当 L. Androphy)

 

今年は詩をテーマとして選び、2013年に発行した『雨ニモマケズ』以来の日本語と7言語に翻訳した絵本となります。
僕は詩を選ぶ時、中原中也や島崎藤村、高村光太郎など皆さんが知っている詩人を選び出しましが、今回参加してくれた絵本委員会の人たちは全然知らない詩人を選んで出してくれました。これには尊敬と感謝でいっぱいです。ありがとうございました。
今回の絵本は皆さんにはどう映るでしょうか。日本の詩の美しさを再認識していただければ幸いです。

(デザインレイアウト担当 前田)

 

日本語で書かれた詩が、世界の言語に翻訳されました。
8つの異なる言葉で書かれた詩の、白い紙の上に並んだ姿が美しく、並んだ字の一つひとつからリズムが出てくるように見えたので、それを表紙の絵にしたいと考えました。
詩のページの絵は、日本語の意味に引かれながら、他の言語で読む人にもイメージが生まれる絵を考えながら描きました。

(イラスト担当 谷)

 

私が最初にイデア・インスティテュートの多言語絵本に携わったのが『古池や~詩歌のこころ』でした。その本では日本の短歌と俳句の中から選んだのですが、当時も「詩もいいものがたくさんあるな。いつか詩も取り上げてみたい」と思いながらいろいろな作家の作品を探していた記憶があります。今年その夢が何年か越しで実現しました。今回は掲載する数を絞るのに苦労しましたが、絵本委員のおかげで初めて知る作家のものもあり、選定が一番楽しい作業でした。翻訳は日本語のニュアンスを残しながらその言語の詩として読めるように、翻訳者の皆さんが大変意欲的に取り組んでくださいました。ここにあらためて感謝の意を表したいと思います。

(発行人 福澤)

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