これはスリランカの道路沿いで撮られた写真です。真ん中にある標識のうち緑色の矢印にご注目ください。白色で文字のようなものが書かれていますね。幸い一番下の行は英語でOYAMADUWA FARMと読むことができます。どうやら緑色の矢印が指す方向に「オヤマドゥワ」という名前の農場(FARM)があるようです。
ここから、もしかして上の2行は同じく「オヤマドゥワ農場」と書かれているのではないかと考えた方、大当たりです。上からシンハラ語、タミル語、英語で表記されていますが内容は同じです。スリランカではシンハラ語とタミル語が公用語のため、3言語で併記されているというわけです。
今回のブログでは、一番上に書かれているシンハラ語(シンハラ文字)の読みかたについてかんたんに説明しようと思います。標識のシンハラ文字は以下のように書かれています。
ඔයාමඩුව ගොවිපල
間に空きが入っているので推測できるかもしれませんが、2つの単語に分かれていて、前半が「オヤマドゥワ」、後半が「農場」を表しています。
1文字ずつ解説しましょう。
最初の文字ඔは母音oを表し、「オ」と読みます。
次の文字යは子音yですが1、その右隣にCを反転させたような記号がありますね。これは母音aaを表す記号で、子音と母音を組み合わせてy+aa = yaa「ヤー」と読みます。このようにシンハラ文字は、子音+母音のセットで1文字になることが多いです。
3文字目のමは子音mを表しますが、母音記号が見当たりません。英語ではここを「マ」と読んでいたので、同じ発音になるにはaを表す記号が必要なはずですが、なぜ書かれていないのでしょう?
実はシンハラ文字には、子音を表す文字が単独のときは母音のaを伴って発音するというルールがあるのです。このルールにより、aを表す記号がなくてもm+a = ma「マ」と読むことになります。
それでは、子音を表す文字にa以外の母音が付くときはどうなるのでしょうか。iやuなどa以外の母音には、子音と組み合わせるときに使う独自の母音記号があります。子音ම mにa以外の母音が付くケースをいくつか紹介しましょう。
子音ම mの上や下、手前や後ろに母音記号が加わっています。分かりやすさのためそれぞれ加わった部分を赤字にしていますが、各赤字部分が母音(i, u, e, o)を表しています。
ここまで見てきたように、シンハラ文字は①母音単独、②子音単独、③子音+母音記号のいずれかをまとまりとして発音します。
次の文字に進みましょう。ඩුですが、子音ඩ dの下に母音記号uが付いています。(上表にあるමු muと比べてみてください。uを表す母音記号が同じですね。)d+u =du「ドゥ」と読みます。
前半最後の文字はව wですが、母音記号がありません。ということは先ほどのルールに従ってaを伴って発音すればよいですね。w+a =wa「ワ」でOKです。
これで前半の文字をすべて読むことができました。通して発音すると「オヤーマドゥワ」となり、英語表記のOYAMADUWAに対応していることが分かります。
さて、後半最初の文字ගොは子音ග gの前後に母音記号oが加わってg+o =go「ゴ」と読みます。
次は、前半最後に出てきた文字ව wが再登場。ただし、今回は母音記号iが加わっていますのでw+i =wi「ウィ」です。
3文字目はප pですが、母音記号がありませんのでルール通りにaを伴ってp+a =pa「パ」となります。
最後の文字はල lです。これも母音記号がありませんので同じくaを伴ってl+a =la「ラ」となります。後半を通して発音すると「ゴウィパラ2」となり、シンハラ語で「農園」という意味になります。
わずかですが実際にシンハラ文字を読んでみてどのように感じられたでしょうか。最初は読みかたの見当がつかなかったとしても、しくみを知ってみれば意外と読み解けるものです。今回紹介したのはシンハラ文字全体のごく一部ですが、少しでも文字に親しんでいただけたならば幸いです。
1: yやwなどは音声学的には半母音と呼ばれますが、シンハラ文字では子音文字のグループに含めます。
2: වをv(「ヴ」)と表記して「ゴヴィパラ」とする場合もあります。
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