「雪のイラストを描いてください」
そう言われたら、みなさんだったらどんなイラストを描きますか?
先日、タイ語を勉強していたときのことです。テキストの季節や天気のページを学ぶセクションに、「雪」という単語が載っていました。
タイ語で「雪」は「หิมะ」と言います。カタカナで表記すると「ヒマ」、日本語の「暇」に近い発音です。
その「หิมะ」という単語の隣に、雪の積もった山のイラストが描いてありました。東南アジアのタイでは、雪は山に積もるものというイメージなのでしょうか。日本語のテキストであれば、雪だるまや雪の結晶のイラストが載っているのではないかと想像しました。少なくとも私がイラストレーターだったら、「雪」という単語の隣に山の絵は絶対に描かないと思います。
そんなことを考えながらイラストを眺めていたら、「この山、なんだかヒマラヤ山脈みたいだな」と思えてきました。
ん?ヒマラヤ山脈?
その途端、びびっときました。もしかして、ヒマラヤのヒマって、、、?
急いで検索してみると、予想的中。
サンスクリット語で「हिम(ヒマ)」は「雪」、「आलय(アラーヤ)」は「住みか」。この二つを合わせると「हिमालय(ヒマーラヤ)」となり、「雪の住みか」という意味になるのだそうです。タイ語の「หิมะ(雪)」は、サンスクリット語に由来するというのです。
サンスクリット語は、インド・ヨーロッパ語族に属する古代語です。古代インドでは宗教、文学、哲学、数学、天文学、医学、建築学など、様々な分野の文献がサンスクリット語で書かれました。タイ語とサンスクリット語は言語の系統としては遠い言語ですが、宗教などを通して、タイ語にはอารยธรรม(文明)やอากาศ(天候)などサンスクリット語起源の語彙が多く存在しています。
ちなみに、タイ語で「ヒマラヤ」は「หิมาลัย(ヒマーライ)」といいます。意味はサンスクリット語と同じく「雪のすみか」です。東南アジアの暖かい国ですから、หิมะ(ヒマ)といえば雪そのものや雪だるまではなくหิมาลัย(ヒマーライ)を連想するのかもしれません。
タイ語と日本語はお互いの言語の借用語が少ないので、タイ語のテキストを読んでいても、料理の名前以外で知っている単語はなかなかありません。こんなふうにタイ語の単語が自分の知っている言葉と繋がったのは初めてでした。しかも、それが古代インドのサンスクリット語を経由しているなんて。ヒマラヤの語源を検索したのはほんの一瞬ですが、その一瞬でまるで時空を超えた旅をしてしまった気分です。きっとあのイラストがテキストに載っていなければたどり着けなかったでしょう。こういう体験こそ外国語学習の醍醐味のひとつだと思います。
それにしても、雪の積もる高い山を「雪の住みか」と呼ぶなんて、かっこいいですね。大昔のインドの人々が眺めていたヒマラヤ山脈も、きっと今と変わらず美しい雪山だったのでしょう。語源を知ると、いつかこの目で見てみたいという気持ちがむくむくと湧いてきました。でも寒いのは苦手だからやっぱり南国のタイに行こうかな、なんて思ったりしながら、今日もタイ語学習を続けています。
参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%83%A4%E5%B1%B1%E8%84%88
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